全国の職場・地域に新たな国鉄闘争の全国運動を
――4者4団体の「闘争終結」に際して――

国鉄分割・民営化に反対し 、
1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動


(1)
 国鉄1047名解雇撤回闘争に心を寄せ、支援し、ともに闘ってきた全国のみなさん。1047名闘争がきわめて重大な局面を迎えています。
 「雇用問題が解決しなければ闘いは終わらない」と言ってきた国労本部をはじめ4者4団体は6月24日、1047名闘争の終結と解散を宣言しました。さらに国労本部は7月の定期大会で組合規約を改定し、闘争団員の組合員資格を奪おうとしています。国労本部は、闘争団を切り捨てて連合に加盟し、御用組合として生きる道
を選ぼうとしています。
 私たちは、日本労働運動の解体をもたらす、この重大な事態を断じて見過ごすことはできません。労働組合は幹部のものではなく組合員のものです。労働組合は資本や当局の攻撃に対して組合員の利益を守るために労働者が団結して闘う組織です。この当たり前の原則を投げ捨て、資本や政府に依拠する労働運動に未来はありませ
ん。
 4者4団体の「闘争終結」に際し、国鉄闘争の旗を守り抜き、国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回の新たな運動をつくりだすことを、全国の仲間にあらためて心から訴えます。
(2)
 中曽根政権によって強行された国鉄分割・民営化は、戦後労働運動を牽引してきた国鉄労働運動を叩きつぶし、総評・社会党を解体して改憲を実現する、中曽根の「戦後政治の総決算」の要をなす攻撃でした。この戦後最大の労働運動つぶしの攻撃に対して、動労千葉は2波のストライキに起ち、団結と組合を守り抜きました。国
労は、86年10月の修善寺大会で「労資共同宣言」を拒否し、3万人をこえる組合員が闘いを継続しました。
 1047名の国鉄労働者は、文字通り人生をかけて、家族や職場に残った仲間、全国の100万人ともいわれる支援とともに24年間、この労組解体の攻撃に対して「解雇撤回・原職復帰」を掲げて闘い続けてきたのです。
 この闘いこそ、重大な後退を強いられたとはいえ、国鉄分割・民営化から始まった新自由主義に対抗する日本の労働運動の結集軸となってきました。1047名闘争がこのような形で終結したならば、労働者の権利や労働組合の未来はいったいどうなるのか。日本の労働運動は重大な岐路に立っていると言わざるを得ません。
(3)
 私たちは昨年6月、「国鉄闘争の火を消すな」と訴え、国鉄分割・民営化反対と1047名の解雇撤回闘争を継続・勝利させるために新たな全国運動を立ち上げました。@1047名の解雇撤回、A労働運動の復権、B職場・地域から自主的な闘いの形成、C被解雇者の支援――の4つを柱に運動を進め、この1年間で40の地域
・職場に支援・共闘の運動体が生まれました。本年6月5日に開催された全国集会には1780人が日比谷公会堂に結集し、被災地の怒りと闘いと結びつき大成功しました。動労千葉は、基地・職場の全面統廃合攻撃と京葉車両センターの外注化を阻止する新たな決戦に突入しています。この1年間の5波のストライキで今年4月1
日の外注化計画をストップさせ、青年組合員を獲得しています。
 3・11大震災は労働運動をめぐる情勢を一変させました。国鉄分割・民営化以降の新自由主義政策こそ、無数の労働者を非正規雇用・ワーキングプアに突き落とし、社会保障制度を解体し、災害に対する抵抗力を奪ったことを見据えなければなりません。現在も10万人をこえる人びとが避難生活を強いられ、福島第一原発から
放出される放射能による被曝が強制されています。数十万人以上が震災で解雇され、職を失っています。
 他方で、6月11日には全国で100万人ともいわれる反原発アクションが行われるなど、反原発・反失業の闘いのうねりが起きています。今こそ職場から新自由主義攻撃に立ち向かう労働運動を甦らせる時です。世の中に満ちあふれる怒りの声と結びつく反失業・反原発の闘いが求められています。
(4)
 4者4団体の「闘争終結」に対して動労千葉は7月1日、「国鉄闘争の火を消してはならない!」との声明を発し、解雇撤回と外注化阻止の闘いを軸に組織拡大を実現して、労働運動を復権していく決意を訴えています。
 国鉄1047名解雇撤回闘争に心を寄せ、支援し、ともに闘ってきた全国のみなさん。闘いはこれからです。あらためて「国鉄闘争の火を消すな」の新たな全国運動をともにつくりあげることを心から訴えます。この運動は、あらゆる職場で当たり前の労働運動を闘うすべてのみなさんのものです。会員・呼びかけ人に加わって下さい。そして全国各地にあらためて国鉄闘争の火を燃やし続ける共闘組織をつくることを呼びかけます。

2011年7月12日


伊藤晃(日本近代史研究者)/入江史郎(スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合委員長)/宇都宮理(愛媛県職員労働組合委員長)/大野義文(元安芸労働基準監督署長)/大和田幸治(全国金属機械労働組合港合同事務局長)/鎌倉孝夫(経済学者・埼玉大学名誉教授)
/北原鉱治(三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長)/金元重(韓国労働運動史研究家)/高英男(全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部副委員長)/鈴木達夫(弁護士・法政大学弾圧裁判弁護団長)/清野和彦(元福島県教職員組合委員長)/手嶋浩一(元国労九州本部書記長)/高山俊吉(弁護士・憲法と人権の日弁連
をめざす会代表)/中江昌夫(元国鉄動力車労働組合副委員長)西田節(元総評オルグ・東部一般統一労働組合委員長)/葉山岳夫(弁護士・動労千葉顧問弁護団長)/花輪不二男(世田谷地区労働組合協議会顧問)
/宮城盛光(沖縄県北中城村議・元全軍労牧港支部)/山本弘行(動労千葉を支援する会事務局長)/矢山有作(元衆議院議員)/ジャック・ヘイマン(国際港湾倉庫労働組合ローカル10執行委員)/韓国・民主労総傘下の主要な連盟、労組の代表32人/全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部