先頭に立つのは労働組合
高山俊吉(弁護士・呼びかけ人)

安倍政権は集団的自衛権の行使容認に向けて突っ走ろうとしています。武器輸出の事実上の全面解禁を意味する武器輸出3原則の見直しを含めて、これらのもくろみの背景を正確に把握しておきたいと考えます。
 一番重要な視点は、彼らは強固な基盤をバックにこのような提起をしているのではなく、追い詰められたがゆえにこのような暴挙を決断しているということです。
 表舞台の景色からはそのように見えないかもしれませんが、実態はそれ以外のなにものでもない。敵の脆弱さをしっかりつかんでおく必要があります。
 未曽有の危機に陥っているのは、そしてそのことを誰よりもよく認識しているのは、安倍政権と自民党です。自民党は支持率が有権者の半数を大きく割り込んですでに長い期間が経過しました。15年前からは宗教政党の支援なしには自立できない政党になっています。
 選挙制度を変えたところで支持の基盤そのものの弱体化は覆うべくもない。追い詰められた自民党はこの間野党崩しの工作を尽くしました。
 しかし、維新の会もみんなの党も「責任野党」になれない。それどころかご承知のとおりこの間ともに一気に勢力を弱めてしまった。
 石破自民幹事長が「(集団的自衛権の行使容認を)今回やり損なうと当分はだめだろう」と言った(3月6日院内講演)のは、自身の非力を表白する絶望のメッセージにほかなりません。
 日本周辺有事での公海における米艦などの防護ならどうかとか、シーレーンでの戦闘として敷設された機雷を除去するのならどうかとか、同盟国を守るため外国領土に出向いて戦争に参加するのはどうかとか…。ここまではよいとかここからはだめとかの線引き論議が盛んに行われ、マスコミも一緒になってはしゃいでいます。自民党は砂川判決をよりどころに「限定容認」で公明党を説得している、などとも言われています。
 私たちは、線引き論に入ること、入らせることを絶対に許してはなりません。
 このような議論のすべてがうそと欺瞞に満ちた「ためにする議論」であるからです。
 集団的自衛権行使容認論の登場を許した瞬間にこの国は改憲もせずに戦争突入の絶対制止弁を外します。開戦合理化の理屈などいくらでも後付けできます。吉田茂首相は、古来すべての戦争は自衛の名の下に行われてきたとして、自衛権の存在を言うこと自体許されるべきではないと強調しました。あの吉田首相でもです。
 もう一つ強調したいのは、集団的自衛権の行使容認論がこのように急浮上している背景に、改憲阻止が思うように進まないことに対する権力側の焦りがあるということです。
 この間、とりわけ3・11以降の改憲反対論の強まり方は強烈です。読売新聞のアンケート調査の結果がそうなのですからどうしようもありません。そして容認論の急浮上は自民党内部から、われわれの改憲論はどこへ行ったという不協和音を引き起こしてもいます。
 帝国主義戦争は、労働者を搾取する側に立たせることによって遂行され、殺す先頭に立たされるのも殺される民衆の先頭にいるのも労働者です。
 それは、このもくろみを許さない闘いの先頭に立つのは労働者・労働組合だということを意味します。国鉄・反原発決戦と一体のものとして改憲阻止の闘いに総力をあげてとりくみましょう。

 

最高裁宛署名運動呼びかけ人

横田 厚さん(元国労釧路闘争団)

分割・民営化を問い直す

国鉄「分割・民営」化に反対してきた最大の理由は、国鉄が民営会社になれば利益の追求が第一となり、安全問題は反古にされるからです。
鉄道事故というのは、合理化が加速、拡大されれば、まず、列車そのものの故障や事故、次に信号やATSなどの付帯設備、それから線路にあらわれると言われています。逆を言うと、線路は保守の手抜きをしても直ちに事故にはつながらないということです。これをいいことに長年放置され続けてきたわけです。マイナス20度にもなる北海道では、線路の傷みの激しいことは周知の事実ですが、利益の追求を第一とすることからこのような事態が発生したわけです。
こうした中で、最近、本質的なことについて報じられてきています。
ひとつは、こうした事故発生の根本原因についてです。やっとというか、マスコミも「分割・民営」にその原因が行きつくのではないか、ということです。
JR北海道は、列車や駅舎、イベントなどの見えるところにはお金をかけても、人目のつかない検査、保守は決定的に手抜きをする、というより「せざるを得なくなっている」のです。民営形態でJR北海道は成り立たないのです。そうすると当然、「分割・民営」化を強行した、当時の中曽根・自民党政府に目が向き、責任すら追及されかねません。過日の北海道新聞に菅官房長官が「政府にまで責任が及ばないよう対処する」ともらしたことが報じられていました。これは、闘いの大きな焦点になるでしょう。
もうひとつは、労働組合の対応についての報道です。安全問題は、当局を追及し闘うことによってしか守られません。
JR東日本から、次長、課長級クラス10名ほどがJR北海道に派遣され、安全運行体制づくりに本格着手すると報じられました。マイナス20度の現場に入り、鼻水を垂らしながら雪かきをやってみるがいい。氷に被われた列車を検査、修繕してみるがいい。それでもJR北海道は、安全を確保し民営会社としてやってゆけるというならやってみるがいい。
私は、元国労釧路闘争団の闘争団員、横田です。「国鉄闘争全国運動」に敬意を表します。中央における闘いと国際連帯に学びつつ、地域においても粘り強く闘い続ける決意です。

最高裁宛署名運動呼びかけ人

下山房雄さん(九州大学名誉教授)
 1987年国鉄民営化の際の千葉動労組合員・高石さんら不当解雇に対する裁判闘争は、最高裁で争われることになりました。東京高裁・難波法廷へのわれわれの解雇撤回・JR復帰の要求が認められなかったので、当然に同じ解雇撤回・JR復帰の要求を継続して最高裁にぶつけるわけです。この闘争勝利のための10万筆署名運動を成功させるべく、私はこの壇上に立ちました。
 われわれの上告に対して、最高裁はどういう裁判をするでしょうか。最もありそうなのは、難波判決を維持してわれわれの上告を棄却することです。この場合でも、JRが不当労働行為の原罪を背負って生まれた会社であることが最高裁レベルで法的に確認されるので、社会的意義は大きいと私は考えています。
 しかし、われわれの要求は解雇撤回・JR復帰です。一審白石判決は、清算事業団解雇容認、つまり3年だけという不可解「三百代言」的理屈のもとでですが、JR復帰を認めたのです。ところが二審難波判決は、彼が2005年に東京地裁で下した判決と同じく「名簿に記載されてもJR採用になったかどうかはわからない」とこれまた不可解「三百代言」的理屈でJR復帰を完全否認しました。不当労働行為が為された事実を認めながら、先進国通例の団結権擁護を明確に謳った憲法28条を解釈改憲して違憲の現実を容認してしまったのです。最高裁がこの二審判決を破棄して、自ら解雇撤回・JR復帰の判決を下すことをわれわれが要求する所以です。
 戦後史の中で、先ずは1949〜50年の国家的レッドパージによって、ついで60年代をピークとし、それ以降も執拗に実践されてきた民間大独占体典型の労務管理が不当労働行為を武器として会社派労働組合を生成育成してきたことによって、そして80年代の国家政策「臨調行革」による官公労組攻撃、特に国鉄民営化に反対した労組員の不当解雇によって、団結権は踏みにじられてきました。その結果が、ストライキゼロ社会、好況期にも賃金低下といった異例であり普通でない今日の日本資本主義の姿の現出でした。
 自殺年々3万人、家族生活を維持できない雇用賃金と社会保障のもとでの少子化―人口絶対減少、ILO1号条約(1919年成立)未批准下での無制限的残業のもとでの過労死などなどの異常社会を人間らしい労働と生活の社会に改革するには、左翼政党の国民的発展とそれ以上の大衆的労働組合運動の発展に懸っていると私は考えています。不当労働行為の横行を止めることは、後者=労組運動の発展に不可欠の要件です。われわれの10万筆署名運動を成功させ、高石さんらの権利回復を勝ち取り、日本の組合運動の発展に貢献いたしましょう。団結頑張ろう!

11・3全国労働者集会への国鉄1047名解雇撤回・動労千葉最高裁闘争支援要請のメッセージ

最高裁宛署名運動呼びかけ人
高知短期大学名誉教授 芹澤 寿良さん

 国鉄労働者1047名の解雇反対闘争は、1980年代に入って以降、国鉄の分割・民営化のなかで、大量の人減らし「合理化」が推進され、1987年に強行された解雇通告を拒否した労働者とその関係労働組合、支援運動が開始し、今日まで裁判闘争として続けられている歴史的な闘いであります。
 当初は、国鉄労働戦線の分散状況から、反対闘争も共同、統一の闘いとなりませんでしたが、「四党合意」による集結を拒否した国労闘争団員が裁判闘争(鉄建公団訴訟)に立ちあがり、続いて全動労、国鉄千葉動労も提訴に参加する情勢となって、2005年7月の学者・文化人が呼びかけた「大同団結」のアッピールに応えた被解雇労働者、関係労働組合、支援組織の共同全国集会が開催されました。
 そうしたなかで、2005年9月、東京地裁は、「解雇無効」とはしませんでしたが、裁判所として、はじめて被解雇者のJR不採用自体を「不当労働行為」と認定する判決を出したのでした。しかし、この初めての判決を契機に、運動の新しい情勢が生み出され、2006年2月に「被解雇者1047名連絡会」という当事者間の初めての共同行動組織が結成されて、運動の強化、発展への期待が広がり高まっていきました。
 ところが、間もなく鉄建公団訴訟の控訴審(東京高裁)の段階で、国労、全動労とその両闘争団による「四者四団体」は、「政治解決」と絡めた裁判闘争という路線に立って、そこから「解雇撤回」を基本的要求として堅持する国鉄千葉動労を無視、排除する姿勢を示して、同労組の抗議にも係わらず、「被解雇者1047名連絡会」の具体的な活動を休止状態にし、再び分散した闘いへ後退させてしまったのでした。
 しかし、その「政治解決」路線は、東京高裁裁判長の「早期解決」の要望に沿って、約1年、国労委員長と国鉄共闘会議議長を窓口に、経過非公表のまま取り組まれたものの、「雇用ゼロ」の回答で打ち切られ、「四者四団体」は全動労の反対を押し切って、2011年6月にそれをやむなしと受け入れ、組織自体を解散してしまったのです。全動労もその後独自の団体交渉権を行使してJR北海道で雇用関係での僅かな成果に留まり、2012年3月には闘争を集結させています。
 以上のような経過のなかでも、国鉄千葉動労は、2004年12月27日に国鉄労働者1047名闘争の一環として被解雇組合員9名の解雇撤回を実現すべく東京地裁に提訴して以降、9年間、「解雇撤回」の基本要求を揺るぎなく堅持して地裁、高裁と闘い続けて、そして今日、国鉄闘争唯一の組織的な裁判闘争として残された最後の合法的な闘いの場である最高裁における闘いに臨むことになったのであります。
 国鉄千葉動力車労働組合、鉄建公団訴訟原告団、同弁護団、国鉄闘争全国運動が一体となった体制と4万4555筆の署名運動を背景とする闘いが、2012年6月の東京地裁判決で、そして去る9月25日の東京高裁判決でも採用差別=解雇を明確に不当労働行為とする判決をださせています。この判断自体が重要な成果であることはいうまでもありません。しかし、「不当労働行為」であれば、制度の労働基本権擁護の本質、機能から当然「原状回復=解雇撤回・JR復帰」となるべきものを「慰謝料」の金銭的解決にとどめて、筋の通らない実態を無視した屁理屈で「解雇」を正当化しているところに裁判所のあくまでも国鉄分割・民営化の国策を擁護しようとする根本的な政治的反動性があります。
 国鉄千葉動力車労働組合が、他組織の「政治解決」路線に与することなく「わが道を行く」とする裁判闘争路線を支持して結成された「国鉄闘争全国運動」は、今日の全国集会を、新たな10万人署名で最高裁・解雇撤回判決をめざす総決起集会として成功させたいとしています。
 本日は、「今こそ闘う労働組合を全国の職場に!」をメインスローガンに、国鉄1047名解雇撤回!JRの業務外注化阻止!をはじめ安倍政権による改憲阻止、原発全面再稼働、労働規制緩和との対決を焦点とした集会となっています。
 国鉄1047名解雇撤回の最高裁闘争がどのような展開となるのか、現段階では分かりませんが、国鉄千葉動労、原告団、弁護団、国鉄闘争全国運動の関係者間で周到万全の準備が進められていることでしょう。最高裁闘争で不当労働行為の確定と解雇撤回をかちとるためには、この闘いの意義と内容、問題点をさらに広く労働者と国民各層に知らせ、最高裁への解雇撤回判決を求める新たな10万筆署名運動を成功させ、提出していくことが必要不可欠です。
 衆参両院の絶対多数体制を背景に安倍政権は、平和、人権、民主主義の現行憲法体制を破壊し、「戦争のできる体制づくり」の攻勢を強め、一方それに対する国民各層のさまざまな抗議、抵抗、闘争も中央、地方の全国各地で広がってきています。こうした闘いと連帯して進められる国鉄労働者1047名解雇反対の最高裁闘争が、今日の日本において、労働者の人間の尊厳と権利を守る重要な闘いであることから、当面の新たな10万人署名運動の成功に全面的なご協力をいただくことを強く訴えるものです。

呼びかけ人の訴え
新たな呼びかけ人 李東碩さん(広島大学総合科学研究科・准教授)

 「戦う労働組合」として労資間階級闘争の最前線に立つ動労千葉が、組合つぶしを狙った10・1検修構内外注化の阻止に向けたストライキに突入しています。
  雇い止め解雇撤回に加え、全面外注化に向けた強制出向、偽装請負、非正規職化といった反平和的状況、つまり、昨今の価値法則の唯一主義化(企業暴力)、および価値法則の指令法則への純化(国家暴力)を断ち切るための社会変革運動の中核として、労働組合運動はどうあるべきか、国鉄闘争全国運動の新たな呼びかけ人となってから、私なりに考えてみました。
 周知のように、1980年代以降の現段階において、かつて福祉国家を標榜してきた各国政府による新自由主義攻撃が激化するなかで、産業のIT化とITの産業化、金融のグローバル証券化を介しながら、支配的資本の超国籍企業・銀行化が一層進み、国家権力のみならず、世界経済・環境・危機管理体制といった世界政治権力(グローバル・ガバナンス)までも操りながら、世界労働可能人口の労働権・生活権・生存権(併せて環境権と呼ぶ)を奪い取る「世界帝国」の構築までが囁かれています。
 企業のみならず、地方や地域の労働可能人口は、同一の職場労働者やコミュニティ住民、さらには、国民の同一性までも分断され、シティ間の世界重層化が進み、グローバル/リージョナル/ローカルといったシティ内−間で互いを排除し合う排除型格差社会が顕在化しています。結果として、ほとんどの労働組合は受動性と無為性のなかで敗北しており、単位職場の労働問題に目を奪われ、職場労働者をまたがる地域・世界労働可能人口との団結と連帯は疎かになりがちです。
 K.マルクスの『資本論』が分析対象としていた、生産における労働者の量的・質的包摂の時代(世界工業経済体制:1760年代〜1970年代)を経て、資本の生産と流通の総過程としての「国民的」統一を失った現段階において、「戦う労働組合」であれば、生産における協業の拡大・深化を、職場外とコミュニティ外にまで繋げておく必要があります。
 私も、破壊的であると同時に、創造的でもある、革命的階級の自己価値創造化に向け、主に、外国人移住労働者を含めた非正規労働問題や脱原発問題に関する地域ユニオン運動とその東アジア連帯の模索と実践に関わっていきたいと思います。

佐藤功一さん
(元国労横浜支部執行委員 新鶴見操車場分会長)
今年2月に新たに呼びかけ人に加わった佐藤功一さんのメッセージを紹介します。

 全国運動要綱の「新自由主義攻撃への対抗軸となる新しい労働運動をつくりあげる」に共鳴して「呼びかけ人「にさせていただきました。
 要綱のこの命題は私の年来の持論でありました。呼びかけ人になるにあたっての、「メッセージ」で「千葉動労のような労働運動をめざして職場の労働運動を建設することが一番大事と思っています。後輩諸君頑張ってください」と書いたのもこの立場からです。 勇躍「新自由主義反対闘争呼びかけ人」として、できるだけの活動をしたいと思っておりますので、体力不足でままなりませんが。どうぞよろしくお願いします「
 
「呼びかけ人」として一番呼びかけたいのは、国労組合員、特に「政治決着」に応じこれに賛成した国労闘争団の諸君です。また国労と4者4団体の諸君です。 
 国鉄闘争全国運動の名称「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動」に参加するのは、「 政治決着」 して1047名解雇撤回闘争を終結することにした諸君の立場からすれば抵抗感があるところかもしれませんが、私がいろいろ考えた結論は、あまり気にせず、「1」の内容―新自由主義との闘いを重点に考えて運動してほしいということでした。
 具体的には当面の運転検修下請け化駅の全面下請け化のリストラ反対闘争の最先頭に立っ闘うことです。それが国鉄闘争全国運動への参加であり、この運動への極めて大きな貢献であることは間違いありません。
 
「 政治決着」した諸君が1047名解雇撤回闘争ができないのは当然でやむを得ないが「その代わりに新自由主義との闘いの当面の最重要点であるアウトソーシングリストラとの闘いの最先頭に立ってもらいたい。それは偉大な貢献であると訴えたいのです。
 
一言メッセージの「千葉動労のような労働運動をめざし」は「たたかう労働運動をめざし」というのと同じです。千葉動労のやっている労働運動については私は従来から同意を表明し、敬意も明らかにしてきました。
 千葉動労はよく闘っている。ここで多くを語る紙面はありませんが、検修リストラ反対闘争一つとっても充分言えることです。しかし“千葉動労=悪論”が横行しているようなので、千葉動労“善論・立派論”の宣伝を強化する必要があると思った。これも私が「呼びかけ人」になった理由の一つです。
【佐藤功一さん略歴】
(1950年)国鉄東京鉄道管理局入社
(1956年)国労新鶴見操車場分会副分会長「年末闘争3時間勤務時間内職場集会(=ストライキ)で停職2ヶ月の処分」
(1957年)分会長に就任。同年春闘の3時間勤務時間内職場集会(ストライキ)で公労法解雇。専従分会長兼横浜支部特別執行委員となる。以降、横浜支部執行委員、副委員長などを歴任。
(1981年)準専従者の身分で国労本部にあがり「202億円損害賠償委員会」調査資料室勤務を経て
(1987年)国労を定年退職し「国鉄分割民営化反対闘争からの諸問題」を作成。

労働者の全国的な団結がすべてを決する時
 清野和彦さん(元福島県教職員組合委員長)

 1047名の国鉄不当解雇撤回闘争は、国鉄分割・民営化反対闘争と連続する一体の闘いであります。日本の労働運動の最先端でありました。その歴史的な意義と教訓を引き継いでいくことが、ますます必要な情勢となっています。
  菅内閣は、沖縄普天間問題で日米合意を表明しました。また 財界との関係では日本経団連との協調姿勢を示し、「新成長戦略」をまとめました。消費税の引き上げも打ち出しました。スローガンとして「最小不幸社会 」を掲げていますが、追求すべきは、「国民の生活第一」であったはずで、国民の最大幸福ではないですか。
 
今こそ、日本労働運動がよみがえるべき時です。労働者階級としての全国的な団結がすべてを決する時にしなければなりません。「国鉄闘争の火を消すな」とする全国運動が組織されます。鎌倉孝夫先生、鈴木達夫先生、花輪不二男さんらの呼びかけに、勇を鼓して賛同し、残された力を奮い尽くすことにしました。

原則的に闘う労働組合が必要
大野義文(元安芸労働基準監督署長)


 新たな「戦前」にあって、今こそ闘う労働組合のネットワークをつくろう。戦時国家体制は、国家暴力装置を強化し、思想統制を行い、抵抗勢力を排除することで成り立ちます。いま抵抗勢力の一つである労働組合は、戦時国家体制に抗う組織として存在しているでしょうか? 1000万人以上の労働者が非正規・ワーキングプアに突き落とされている現在、原則的に闘う労働組合の存在が必要です。労働基準法さえ守ろうとしない資本・企業は、例えば不払い残業で労働者から賃金・時間を強奪し(窃盗罪は10年以下の懲役等)、あるいは労働者を過労死・過労自殺に追い込んでいるのです(殺人罪は、死刑など。自殺関与罪は6月以上7年以下の懲役等)。
 1047名の解雇に対して責任を認めず、謝罪せず、居直る政府・JRを許さない闘いを全国的に職場の具体的問題と結合させ、つくっていこう!

闘ってこそ次への展望を切り開く
花輪不二男(世田谷地区労働組合協議会顧問)
 1047名の不当解雇撤回闘争は、国に真正面から立ち向かう闘いですからボロボロにされても闘わざるを得ないと思っていました。この間の闘いは、言葉で言い尽くせない苦闘の日々であり、よく耐え抜いたと心から敬意を表します。 これだけ長期で、歴然とした国家的不当労働行為があった争議であれば、労働者の全面原職復帰と補償が筋です。私は当初、政権交代直後という政治情勢を考えれば、現政権下の「政治和解」も一つの手法だと考えていました。ところが、実際の「政治和解」は、解決金が削られ、雇用は政府がJR各社に要請することになってしまった。 しかし、雇用の面では納得できません。国の政策でJR各社がつくられました。国家的不当労働行為が横行したのも国鉄時代のことでした。そして清算事業団からも解雇されたのです。いかに体制が変わったとはいえ「人道的見地での対処」など、政治の責任が感じられない、努力目標で良いのでしょうか。「闘ってこそ次への展望を切り開く第一歩となる」と言いたい。

ほんとうの労働運動をつくろう
 西田 節( 元総評オルグ )
 
  私は1960年総評オルグ団として未組織労働者の組織化・合同一般結成を行ってきました。
オルグ団はみんな20代でした。組織化は未経験で情熱だけが支えでした。私はいま80歳になり体に障害を持ち、思うようには活動は出来ません。 政府は今、憲法を改悪し戦争を準備している。労働者が引くに引けない時が来ています。今こそゼネストをもって未来を切り拓くために闘うときがきております。とりわけ青年労働者の闘いに期待したい。 
  この「国鉄闘争の火を消すな」全国運動の中に、私が希求してきた階級的労働運動があると確信しています。

闘いは剣が峰
矢山 有作(元衆議院議員)

 国鉄闘争がいま、まさに剣が峰に立たされておるんじゃないか。もし国鉄闘争が潰されることになったら日本の労働者の先が開けない。企業がほしいと思えば雇う、いらんとなればやめてくれと首を切る。働いても働いても食えない状態の賃金でこき使われる。そういう状態に全体的になってしまうんではないか。
 従って、まさに国鉄闘争の成否がこれからの日本労働運動の命運を決めていくんじゃないかと考えておるんです。
 労働者の権利・生活は闘うことによって初めて勝ち取られるんであって、棚からぼた餅みたいに向こうが情けをかけて落としてくれるもんじゃない。
 大体「国鉄改革法」という法律は違憲立法ではありませんか。ここがどうも曖昧にされているんじゃないか。中曽根が考えたことは、憲法を変えて再び日本を軍事中心の国家にするということでしょう。そんなでたらめを許すわけにはいかん。
 本当の生き方というものを考えるためにも、私は動労千葉の闘いというのは非常に重要な意味を持っていると思っています。動労千葉の闘いを孤立させよう、一般の運動から切り離し、労働者の中にすら反感をもたせるようにしようということで一生懸命になっておるのが政府側であり、JR当局です。それに飲み込まれないよう、負けないように、頑張っていただきたいと心から思っております。

恐ろしい社会に変貌
手嶋浩一(元国労九州本部書記長)

 国鉄の分割・民営化を境に、労働者派遣法が秘かに施行され、世の中には働いても働いても不安定な生活を余儀なくされているワーキングプアと呼ばれる労働者が溢れ出し、正規、非正規雇用という、格差が拡大する恐ろしい社会へと変貌してきている。
 国鉄の分割・民営化によって、既成労働組合間に国労の「二の舞」をするなと、秘かな合い言葉が漂い、闘いが放棄されて久しい。労働者は、闘いの過程で人の痛みを知り、人への思いやりを学び、人として生きる喜びやぬくもり、そして労働者が連帯することの大切さを体得していくものである。労働組合が闘いを放棄することは、そうした気持ちが喪失してしまうことを意味し、自己中心的な冷酷な人間を生み出し、それは、いずれ奴隷の道を歩みはじめ、死へと至らしめる。
 労働者の闘いこそが、素晴らしい人間社会を創りあげていくものであることに確信をもって、全国運動を展開しようではないか。

闘いは終わっていない
鎌倉孝夫(経済学者)

 国鉄分割・民営の不当性の認識は消してはならない。分割・民営化に抗する闘いは終わっていない。いま分割・民営化の総仕上げと言うべき外注化、子会社化が進められている。これに対する闘いなくしては労働者の未来はない。厳しい状況の中で労働運動再生に向けた闘いに立上がった動労千葉の運動に期待し、支援します。

新たな全国運動に期待する!

競争やめて団結しよう  これを手にしたあなたへ
                           JP労組 AS (動労千葉を支援する会 新潟のニュースより)

 私が物心ついた頃に、国鉄労働者が1047名も解雇され、以来彼らは20年以上闘っています、この闘いは彼らの決意、信念があっての闘いであることは間違いないのですが、この闘いを長きに渡って支援してきた多くの労働者がいたことを忘れてはいけません。また被解雇者は支援者に支えられると同時に解雇撤回の闘いを継続することで、多くの労働者を激励してきました。彼らは決して救済されるだけの存在ではないと言うことです。私は彼らの闘いから多くを学び、その教訓を自らの職場での闘いに活かしています。職場で闘うことは決して楽ではありませんが、時代や産別を超えて彼らの理論と実践は通用します。原則を貫く闘いに「古い」とか「時代遅れ」などないということです。
 一方、闘う、意思表示をした闘争団支援者に対して「当該の大半が疲れたと言っているんだからしょうがないだろう」などといっている人たちもいます。彼らは被解雇者と支援者がお互いに激励し、団結していることを忘れてしまっているのでしょう。彼らが主張する政治和解路線は日本のみならず世界中の労働者に背を向けることです。私は今回の全国連動のほうを圧倒的に支持します。
 いま、あらゆる労働現場で理不尽なことがまかり通っています。この現実に多くの労働者が怒っています。しかし、その一方で「おかしいと思うけど、会社とモメて処分とかされたら大変だ」「首とか会社が倒産したら元も子もないだろう」とか、中には「いまはそんな時代じゃない」なんていう人もいます.。もしかしたら、これを読んでいる方の中にも、そのように考えて二の足を踏んでいる方もいるかもしれません。そんな方はぜひ、この全国運動を知ってほしいと思います。労働者ならきっと感じるも一のがあるはずです。とりわけ「今の世の中、何かおかしいな」と感じている方には強く訴えます。百聞は一見にしかず。まずは目を向け耳を向け、知ろうとすることです。そこから始めようではありませんか、。批判はその後からでも遅くありません。私も最初は批判することから始まりました。もう、国だとか会社とかノルマだとか個別の競争をするのはやめましょう。競争をやめて団結しましょう。

▼北野弘久(日大名誉教授)
 永い間、本当に「正義」を求めて努力してこられたことに敬意を表します。まさに不合理な日本政府のやり方による犠牲者だと言わねばなりません。

▼北原鉱治(三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長)
 三里塚闘争は44年間、国家権力と闘いぬいてきた。労働者と農民の闘いは切っても切れない。国鉄1047名解雇撤回闘争はここで妥協していいのか。もっと強く労働者の立場を社会や政治に持ち込んで獲得すべきではないのか。

▼高 英男(連帯労組関西地区生コン支部副委員長)
 今度の和解は労働運動に大きな汚点を残すものだ。民間にも影響する。今までのような運動のやり方では組織できない。集会とデモだけでは現場の闘いに勝てない。国鉄攻撃は分割=分断に目的と意図があった。勝つ陣形をつくらなければならない。

▼中村吉政(全国金属機械港合同副委員長)
 闘争を終結するときは、それが他の労働者にどのような影響を与えるのかを考えなければならない。このような解決では話にならない。残念で、怒り心頭だ。火は一度消してしまってからでは燃やせない。

▼国労新潟駅連合分会
 解雇撤回を貫く1047名に、可能な支援は今後も続けます。頑張りましょう。

▼高山俊吉(弁護士)
 前原国土交通大臣の談話に衝撃を受けた。「国鉄改革は大きな成果をもたらした。国鉄改革の完遂に全力を挙げる」と言っている。司法改革も本質は全く同じ。弁護士を権力の側に立たせる攻撃だ。闘う者がみんな手を結び合わなければならない時が来た。私たちは多数派です。この運動を闘う人々が結集するコアに。

▼葉山岳夫(弁護士)
 三池闘争の敗北で日本の労働運動が壊滅的な状況になった。三池ではその3年後に炭塵爆発事故が起きて500人近い労働者が殺された。国鉄分割・民営化も尼崎事故をひき起こした。新たな運動で、労働運動復権に向けた流れをつくろう。

▼鈴木達夫(弁護士)
 中曽根首相は国鉄分割・民営化で労働運動をつぶし改憲をやろうとした。それを1047名闘争と動労千葉が阻んできた。昔の話じゃない。今現在の問題だ。
この運動は、中曽根から始まった労働運動解体攻撃を逆転させる全国政治闘争だ。

▼ジャック・ヘイマン(ILWUローカル10執行委員)
 私は、1047名国鉄労働者の解雇撤回と、組合破壊の合理化に反対し運転保安を確保する闘いを継続する新たな全国運動に、心底から賛同します。亡くなられた中野さんが開始の時点から心を砕いてきたこの重大な階級闘争を生き返らせること以外に、彼を悼み敬意をはらう道はありません。国鉄労働者を守っていく動労千葉の闘いは同時に、日本帝国主義の軍事国家化の衝動と対決し、憲法の反民主主義的な改悪を阻止していく闘いです。貴方のけつぜとした努力の成功をお祈りします。
 連帯をこめて。

▼テッド・ルードウィック(元AMFAローカル33委員長)
 私たちは動労千葉の闘いの精神に称賛の声を送るとともに、民営化に反対する闘いを断固支持します。今はデルタ航空とされたノースウエスト航空は、その全ての航空機補修・整備業務をいくつかの孫請け会社に外注化しました。AMFA(米航空整備士労組)は444日の全国ストライキで、この暴挙に反対して立ち上がりました。そして、4400人の全てのAMFA組合員はその職を失い、ノースウエスト航空の組合は解体されました。しかし、彼らは決してその闘いの精神を失ってはいません。
 私たちは原職奪還をめざし、全世界の労働者を苦しめている新自由主義攻撃に引導を渡さんとする貴闘いを断固支持します。
 ありがとう動労千葉! 連帯を込めて。

▼私たちは、2009年2〜3月に、希望退職・割増退職金を蹴って、全員が解雇を迎え撃ち、解雇撤回闘争を闘っています。「政治和解」 を拒否する国鉄労働者と心を一つに勝利の日まで闘います。(全国社会保険協会連合会労働組合)

▼ 「国家的不当労働行為」を認めるのは労働運動にとって自殺行為です。 (静岡県職)

▼解雇は絶対に許せない。(JAM神奈川ジェコー行田分会)

▼「解雇撤回!」こそすべての労働者の声だ! ともに闘わん!(群馬合同労組)

▼解雇撤回を貫く1047名に可能な支援は今後も続けます。頑張ります。(国労新潟駅連合分会)

▼こんなことで分割・民営化を終わらせなてはならない!(動労水戸)

▼解雇撤回闘争は労働組合の原則。(茨城県職)

▼不当労働行為を棚上げし、金銭で解決することなど納得できません。「和解」と言って闘いをやめることは、闘えなくなることは自分の首を絞めることです。動労千葉のように現場からの闘いを基礎に団結を強め固めていくことを期待しこの運動を応援します。(元高校教師)

▼「1047名解雇撤回」こそ、この社会で首切りや賃下げ、内定取り消しや教育破壊などに苦しめられている青年や学生の希望のスローガンだ!(学生)