国鉄闘争の肝心な問題が解決していない

 私が今日申し上げたいのは、6月28日に最高裁判所で1047名の解雇事件が24年かかって和解ということになったわけです。和解の条件というのは、一人当たり平均2200万円の解決金。雇用の問題については、北海道、九州、四国、貨物のJR株は全部政府が持っているわけですが、採用の要求をしたのに、それを受け入れてくれなかった。だから雇用の問題はゼロとするとなっておるわけです。
 和解の問題をめぐって、「これで国鉄闘争を終結させよう」というのが、国の考え方であり、JR資本の考え方であります。それに「そうですか」と言って乗っかって国鉄闘争を終わりにするわけにはいきません。国鉄闘争の肝心な問題が解決していないんですから。違憲立法である国鉄改革法というものをつくって、その正当性を主張するために国労に働きかけて大会を開かせて、「国鉄改革法を承認します」という決議をさせた。「違憲だなんだと言ったって、当の組合が賛成だと言っておるじゃないか」というような逃げ道をこしらえました。この悪賢いやりかたに労働組合のほうが乗っかっていって大会決議をやったわけです。このいう経過のように、国家権力はJR資本と一緒に、巧妙だし悪知恵は働かすし、このままでは今の和解案に「よかった。よかった」で済ませておくわけには、いかんということです。この和解案自体に非常に問題がある。和解というなら、自分たちがやってきた悪いことを「悪うございました」と「謝罪します」と、そして謝罪した以上は、「解雇者を現職に復帰させます」となるのがスジなんです。これが本当の謝罪なんです。

労働者の自らの闘いによって守る

 ところが、そんなことは何もやらんでしょう。和解の中で謝罪もない、自分のやった不当労働行為を取り消すという発言もない、「これで全部ご破算にして仲良く話し合いをしていきましょう」そんな勝手放題のことを許すわけにはいかんわけです。ですから、これからの問題は「和解したんだから、もう国鉄闘争はすんだんじゃないのか」という空気を作って、国鉄闘争全体をなくしていく。 そういう悪巧みに絶対に乗ってはならん。やった悪いことを元へ戻すのでなければ謝罪にはならんわけです。
 和解ということで国鉄闘争をぽしゃらすということがあっては絶対にならん。それが、JR資本や国の考え方であるわけですから、それに乗るわけにはいかない。さらに国鉄闘争の強化をはかっていかなければならんと私は思っています。国鉄闘争が24年闘われてきて、それで和解という形で銭をもらって片付いたというでは、日本の労働運動は将来「そういう解決でいいのか」とぽしゃってしまうと思うんです。それは絶対に許されない。和解というなら、JRと国が改革法という間違いを認めて、そして解雇は全部撤回します。現職復帰。こういうところへいかんと、本当の解決にはならんのですから、そいういう意味で私どもは彼らが考えている悪巧みに乗せられないようにする。国鉄闘争をさらに今後強化していく。そして日本の労働運動全体を強めていく。労働者の人権、生活と権利は、労働者の自らの闘いによって守るということをはっきりとさせなければならんと思うんです。そういう意味で今日の集会をやって、「国鉄闘争はこれからますます大事なんですよ」と「みなさん一緒にやりましょう」という決意を固め、そしてそのことをきちんとお互いが認識しあって、やろうということです。
 その趣旨を理解し、「よろし賛成だ」と「国鉄闘争を瓦解させては、日本の労働運動全体がだめになるから、矢山の言うたとおりだ」というなら、この新しい国鉄闘争の強化の運動の結成にご賛同いただいて、みなさんで一層の闘争の強化をはかっていただきたいと思います。

全国運動を各都道府県に

  私も気持ちだけは、こういう気持ちがあるんですが、なにせ歳ですから、先頭で、いろいろ言うのは座って言えばいいのでしゃべりますけど、実際に行動を伴わなければダメなので、その行動という面において弱点を持っておりますので、ひとつ今日の会でみなさんの若い力で国鉄闘争を、さらに強化していく、そして日本の労働運動全体を高めていくという格好で会を作ってもらったらと思います。
 この会は、全国的に各都道府県に出来とるというようにまだなっておりません。しかしながら、いくつかの県で出来ております。やはり、都道府県毎に作っていかんと、中央にひとつあるからそれで運動が広がっていくんだろうというのはちょっと安易すぎると思うので、私は、中央におけるこの組織を全国的に本当に運動ができる体制として強めていくために、各都道府県でこしらえるべきだという考え方をもっておるわけです。都道府県の中では、すでに結成されておるところもあります。岡山でもぜひ結成をして、今日お集まりのみなさんが、先頭に立って国鉄闘争の強化をはかっていただきたい。和解ということで、国鉄闘争を消そうとしている。ということは、日本の労働運動全体を弱体化しようという、権力に対抗する、JR資本に対抗する日本の労働者の闘いを強めていく方向で頑張っていただきたいなあと思っておるわけです。
 こんどの和解の問題で、新聞報道で中曽根が「うまいこといった」という意味のことをしゃべっていると思いますが、やはりここで和解という形でいったんでは、中曽根が自ら言ったように、「おれの思うつぼになった」といって彼を喜ばすだけの話なんです。彼を喜ばして、日本の労働者の闘いをぽしゃらしたんでは、これは「我々はいったいなんのためにやってきたんか」ということになりますんで、全国各地でおそらく都道府県単位ぐらいには、こういう会が結成されていくと思いますが、岡山もその一つとして、みなさんのご協力をいただいて、ぜひ結成にむけていただきたいと思うわけです。よろしくお願いします。