◎田中康宏
この間、動労千葉と動労総連合は、3・4ダイ改、常磐線の4・1延伸に対して統一ストライキを配置し、17春闘と結合して闘って来ました。
国鉄分割・民営化以来の転機をなす攻撃がJR再編を中心にして動いている。一方では鉄道業務をすべて外注化して労働者を転籍する雇用の破壊攻撃。他方では「戦略的ダウンサイジング」という言い方で北海道をはじめ地方ローカル線を切り捨てる攻撃が進んでいる。
動労千葉は、具体的には、ダイ改による「系統分離」と称する内房線の削減に対して館山に焦点を当てて闘いを展開しました。館山では10年前の運転区廃止問題以来、地域での闘いが持続して取り組まれてきた。今回は、地元の方が中心に呼びかけ人となって「内房線と地域を守る会」を立ち上げ、170人で集会を行いました。
新自由主義によって破壊されている地方の現実の中で新たに始まった変化だと感じています。第二の分割・民営化攻撃と闘う中で労働者の再結合を生み出すことに確信を持ってやってきたことは間違いなかった。
社会を飲み込む国家的大リストラの攻撃に具体的な形で闘いが展開できることを示したい。これが3月ダイ改で追求した課題でした。大きな成果だったと思います。
3月5日には、動労総連合の統一行動として「分社化・転籍攻撃粉砕、1047名解雇撤回」を掲げてJR東の本社抗議行動を闘いました。
CTS(JR千葉鉄道サービス)の就業規則改悪問題では、5年でいったん全員解雇の攻撃を闘いによってひっくり返し、面談で65歳まで働く意志を示せば選別はしないと団体交渉で確認しました。
今年1年間で動労千葉の組合員40人が60歳で退職し、CTSに再雇用されます。国鉄分割・民営化から困難な闘いをくぐり抜けてきた組合員がCTSに行きます。CTSにはすでに組合員が十数名がいます。ここで力を発揮する枠組みができれ組織拡大は間違いなくいく。絶対にCTSの過半数をとる。
JR東に申し入れ
国鉄1047名解雇撤回闘争については、JR東日本に第3次の申し入れを行いました。
井手文書では、JR設立委員長の斉藤英四郎が不採用名簿の作成を命じたと言っている。斉藤が命じたのか命じていないのか。そこをはっきりさせろ、この問題について団体交渉を開かないことは不当な団体交渉拒否だと申し入れました。執念深くJRを攻めていきたい。
外注化強制出向無効確認訴訟が6月7日に結審になります。この日に集会を開催する予定です。外注化がこれからの労働運動の焦点だと思います。
裁判でJR側は強制出向の正当性をまったく主張できなかった。また労働局が偽装請負の疑いをJRに示していたことを裁判で初めて知った。闘いはJRをギリギリ追いつめていた。裁判で、外注化を10年単位で遅らせ、JRを追いつめたことが分かり、弱点が鮮明に見えた。
共謀罪阻止の闘い
先日、関西生コン支部と港合同の3労組で議論の場を持ちました。
関生からは「いま必要なのは行動。特に共謀罪は労働組合にとって死活問題だ」と提起された。国鉄闘争と一体で闘おうという議論があって6月11日の翌週には共謀罪が強行採決される情勢です。本気で考えようと。
港合同からは、大阪市営地下鉄の丸ごと民営化計画が市議会を最終的に通ったわけですが、「こんな民営化を認めてどうするんだ」と訴えると迷惑なことのように言われる、と。この労働組合の現状を深刻に訴えていた。民営化計画が今まで市議会を通らなかったのは、地方交付税の関係などで自民党が渋ったからです。こういう現状に本当に憤っていました。
だけどもう一方で、北海道の新聞世論調査では「国鉄民営化は国策の間違いだった」が82%に達している。民営化とか新自由主義で破壊された社会の現実に対する怒りや認識などの潮目が変わり始めている。
内外情勢は、韓国ではパククネ政権を退陣に追い込んだ民主労総の闘いを先頭とした民衆のすばらしい闘いが展開されています。もう一方ではトランプ政権が登場し、安倍政権と一体となって朝鮮半島に対する軍事力の行使、戦争の危機が切迫している。
日本では、安倍政権の森友学園、沖縄基地建設、特に森友学園では典型ですが、社会のとんでもない反動化と腐敗が見えてくる。国鉄改革が生み出したものが北海道の現実で、国鉄改革と一体で中曽根以来の教育改革が生み出した典型的姿が森友学園ではないか。ここまで問題が吹き出しながら安倍が開き直れる現状を何とか変えないといけない。
安倍政権は共謀罪を本格的に審議入りした。絶対に通してはならない。
動労千葉は、分割・民営化のストライキで40人が解雇された。28人の公労法解雇については組合機関紙に「誰それがストに賛成の発言をした」と載ったことが解雇理由にされた。
ジェット燃料闘争の時も遵法闘争から始まったけれども、その時も当時の法務大臣は「動労千葉は労働組合を逸脱している。遵法闘争に刑事罰を」と記者会見で述べている。もし共謀罪があったら、文字通り〝共謀〟〝準備〟の段階で刑事罰の対象になり、方針を決定した時点で弾圧を受けていた。労働組合の立場から見ると、本当に労働組合の存在が否定されかねない。危機感を強くしてる。
そう考えてみると、戦争と民営化に反対することが十数年間の2大課題だった。今度の6月集会のメインスローガンを「戦争と民営化に反対する新たな闘いに立ち上がろう」としたい。
労働運動の芽つくる
新自由主義が生み出した社会の崩壊的現実の中における労働運動の課題を真剣に考えないといけない。館山の経験なども含めて、新自由主義が生み出した社会の崩壊と、それに対する労働者の団結が、医療・教育・自治体の職場で、労働運動の再生を生み出すきっかけになる。さまざまな職場と労働者が置かれている条件と社会全体の関係の中で具体的な一歩を議論することができれば労働運動の芽をつくることはできる。
ここを国鉄闘争の経験の中から全体に訴えたい。6・11集会をこのような趣旨で開催したいと思います。 |