労働学校通信

実践講座
第[期No.05


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実践編次回講座のお知らせ

2008年2月23日(土) 13:00〜
 労働組合とは何か
 講師 田中 康宏(動労千葉委員長)
 動労千葉のたたかいの経験をとおして階級的労働運動路線の核心について提起する
16:30より講師を囲んで懇親会を予定いたしております(会費1,000円)

労働学校通信(実践講座) 第5号 (2008.02.10発行)
がんばろう労働者!たたかおう労働組合!ひろげようインターナショナル

社会保障は資本主義社会の大きな矛盾

 C型肝炎訴訟の問題で政府は一律に救済することを拒否した。金を渡すから責任を追求しないでくれと。原告は「金ではない。国が責任をとって病気になった人を全部保障しろ」と。ある人は「国労闘争団は爪のあかを煎じて飲め」と言っていたが、1047名闘争は危機的な状況だ。解雇攻撃にもかかわらず解雇撤回を下げた。動労千葉を排除して「少々の金でも全部のむから政治和解を」と。共闘会議のなかでは民主党に「白紙委任」したとも言われている。だけど民主党も自民党も動かない。労働者は誇りある存在だ。20年間も続いてきた1047名闘争を「なんでもいいから解決してほしい」となったらとことんやられる。徹底的に闘った方が、最後は政治和解の場合でも、とれるものはとれる。
 今日のテーマである社会保障制度というのは戦争が発端になっている。一家の親父を戦争で殺してその遺族を面倒みなかったら、二度と戦争なんかやらない。革命を起こさせないための方策だ。
 もうひとつは、資本主義社会は労働者を低賃金でこき使い搾取するだけじゃなくて、低賃金の中からもっと金をふんだくるということがある。労働者は医療保険も年金も若い時から60過ぎまで膨大な掛け金を払っている。この金をどう使うかということを考えているわけだ。
 歴史を見るとだいたい50年に1回、戦争をやっている。60過ぎたら年金もらえる人は相当数が死ぬ。死ねば年金を払う必要がない。そういうものとして考えている。そもそも仕組みそのものがずさん。それを社会保険庁の何も知らない労働者達に対していい加減だと言っている。そもそも根本がだめ。
 社会保障制度が資本主義体制の大きな矛盾の一つとなっている。これを労働者階級の闘いとしてどうやっていくのかということだ。
 経団連が経労委報告をだした。「ホワイトカラーエグゼンプション」なんか強調していない。年収200万以下の労働者が1千万以上いるなかで、成果主義賃金なんか成り立たない。結局多くの労働者が長時間労働を強制される。それは企業自体に大変な矛盾をもたらしている。労働者は企業にロイヤリティをもっていないからすぐ辞めちゃう。
 少子化問題にもふれている。次の労働力がなくなるということに対して強烈な危機感を持っている。
 資本主義社会は、労働者がいなかったら成り立たないわけで、われわれがつけ込む隙はたくさんある。
 (第5回実践講座代表あいさつより−要旨)

ひとりは万人のために 万人はひとりのために

交流の広場−闘いの輪(受講生の声)

◎ 受講感想・感想編

●「農業と福祉は資本主義社会のお荷物」が持論の私にとって興味深く聞かせていただきました。
 それにしても、年金をはじめとする社会保障と戦争がここまで表裏一体のものとは思いませんでした。また、講演の中で言われた「ヨーロッパは国が国民を恐れているがアメリカは国民が国を恐れている」ことが社会保障レベルの差だという言葉は重くひびきました。近年、日本の社会保障制度のひどさは講演や資料にあるとおりです。ここでも公務員労働者の役割は大きいと思います。私の県も財政はパンクしています。生活保護に関しても、できるだけ切っていくのがよい職員で、近い将来、成果主義賃金が導入されたらどうなってしまうのだろうかと背筋が凍る思いです。

●今まで社会保障、年金問題ということへの注目が自分の中で低かったのは、成り立ちや仕組みを知らなかったこと、実感していなかったことがあったからです。しかし、今日の講義を聞いて、学校で習ってきた社会保障とは違い国が国民のための国民の健康、生活を守るためのものではなく、その裏に資本主義国家を維持する目的があったことが分かりました。それを知れば労働者であれば誰しも怒りをもち、このペテンをあばいて、世の中を変えようという力が出るだろうと思いました。
 国は国を守るためだからと、いろんな手をつかい、理由をつけ、小学生、中学生のうちから資本主義社会の中での自分の位置、国の中に属する私たちというものをしっかりと教育してきているんだと、あらためて感じました。それを自分の頭、体にしみこんでしまっているものをとっぱらい、労働者としての自分の考えになるには、やはり実践と学習が必要だと思った。自分の立場を再度はっきりさせ、民営化阻止し赤字は県に補填させ、労働者、労働者家族のための医療を維持していきたいと思った。

●現在、自治体労働者にかけられている攻撃の本質をあらためてとらえ直すことができました。階級的決起を抑止するため、資本主義体制国家を美化するために、「社会保障」が存在してきたこと、そして今、資本主義の危機の中で、ギリギリの延命策(資本主義の)として、自治体労働者に対する「公共サービス向上」のキャンペーンが張られている状況があります。最大の問題は自治労そのものが当局と共に「質の高い公共サービス」を叫び、現場労働者に強制しているということです。
 資本主義が労働者を食わせていくことができない、社会保障さえ維持できなくなった現在、「質の高い公共サービス」とは、労働者をごまかしながら、現場の労働者をとことんまで搾取し、首切りを許し、資本主義体制の延命を手助けするもの以外の何ものでもないということがハッキリとしました。
 しかし、自治体の現場労働者もそんな「福祉国家」という美化を維持できない、社会保障を維持できないところまで来ているということです。だからこそ体制内労働運動を打倒しなくてはならない。僕たちは体制内運動を延命させる存在では、これ以上あってはならないということです。

●児童福祉の分野も、この間の新自由主義、民営化の流れにあると思います。私の単組でも保育園民営化の方向性が当局から出されています。ピンチはチャンスなのだということで、この動きが保育士会の活性化につながりつつあり、保育士から副委員長が選出されるまでになり、共に闘っています。
 私の周辺には介護福祉士が何人かいますが、みんな職場をいくつも変わっているのが当たり前となっています。その一人が今年の夏に退職を強要されました。残念ながら退職を止めることはできませんでしたが、理事長とケンカして最後は年休の消化を認めさせて、しばらく休暇を取って退職となりました。今、別の職場(同じ福祉の仕事です)に就職し、なれたら組合を結成したいと意気込んでいます。やはり現場の闘いからしか始まらないと思います。

●昨年からさらに内容が一新され、問題がはっきり提示されました。今日の話を聞いて、資本主義は必ず崩壊するのだと思いました。資本主義は、マルクスが言うようにその墓堀人を同時に産み出しますが、それと同じように社会保障制度も備えざるを得ません。そしてこの社会保障制度こそ資本主義の大矛盾となって、自らの首を絞めていくのですね。
 どんなに労働者から保険証をとりあげても、労働者は病気になれば病院に来ますから、そこで生活保護を申請して、全額税金でまかなうようになってしまいます。そして、病院に来る時は重症化していますから、余計にお金がかかるでしょう。
 あらゆる病気に対し「早期発見早期治療」と言われていることに逆行していますから、医療費を削減しようとしてもできません。結局、年金・医療・福祉とは、人間生活の必要経費であって、それを削ろうとしても、できないのです。これらは資本主義社会では絶対に解決できないのだと思いました。それは地球温暖化の問題が体制内で解決しっこないのと同じだと思います。

●もやは労働者を生きさせることのできなくなった資本主義という、この副題のとおりだと思います。革命が問題になっているのだと思います。社会保障問題は帝国主義が労働者を支配していくための政策であるから、労働者の側があれやこれやの改良運動にとどまっていては労働者の怒りを体制的に取り込んでしまう運動になってしまう。だからといって改良運動をやらなくていいのかということにはならない。改良運動の中身を労働運動的、労働者の団結としてつくっていけるのかどうかなのだと、最近のさまざまなことを通して感じているところです。

●冒頭、中野さんから年金問題の大筋が語られた。一つは年金は戦費調達という目的と、加入者が戦争で死んで払わなくてよいという、もともとがそういう発想ではじめられた。第二は自己申告制ということ。自己申告しないと払われない問題。制度そのものの根本がいい加減なもの。だからそのシステムの中で仕事をしている社会保険庁の労働者には何の責任もない。レジュメの中で「失業して減免手続きしないと無年金者になりますよ。減免手続きをして下さい」とアドバイスした職員が10年間で6000人も処分されているというのは驚きだ。『東洋経済』の特集で、上司がパソコンで年金の支払い状況を調べたことをもって非常勤の職員が解雇になった事例が出ていたが、これも同じような問題だ。「本人申請制度」そのものに根本的な問題があるということ。
 年金は毎月賃金から何万円も天引きされている。企業も同額を払う。全労働者のそれらの金額を合計すると莫大な金額である。国はこの金を「財政投融資」として公共事業の資金源にしてきた。この金がいくらあるのか。どのくらい株や不動産で赤字をつくって、すってしまったのか。このデータはどうやったら暴露できるのだろうか?

●フランスでの年金改悪法に対して、公務員や鉄道労働者のストなどの闘いの激しさは当然で、年金、介護、医療などを労働者からの搾取、収奪率の強化でしか延命できない資本主義は、現場労働者の団結、闘いで、社会の矛盾を暴いて階級的闘いに広げる情勢になったと思いました。

●年金や福祉、社会保障をめぐって言われている資本や国家権力のウソ、ペテンをすべて暴いて、社会保障の問題は労働者の側からすれば革命の問題であることがよく分かりました。
 そもそも資本主義社会における社会福祉とは賃労働と資本の関係を維持し、資本主義社会をいかにして延命させるかということで打ち出されているものであって、「よい福祉国家」も「悪い福祉国家」もないですよね。その上で今は、労働者を食わせていくこともできなくなった末期的帝国主義。社会保障すら解体せざるを得なくなったということは、革命の決定的チャンスです。問題は体制的労働運動の指導部が決起を抑えつけているということ、幻想をもたせようとしていることです。これを完全にぶっ飛ばすための講義だったと思います。

●社会保障解体の問題は革命の問題である。このことがつかめたような気がします。資本主義の矛盾そのものだということ。セシル=ローズ「内乱を欲しなければ帝国主義者たれ」、しかし別に内乱を抑制するために侵略戦争、帝国主義戦争をやるわけではない。資本主義が資本主義として成立しなくなる中で戦争に訴える。根本は資本主義の矛盾そのもの、つまり賃労働と資本との対立にこそある。社会保障も、労働者階級のギリギリの生存を維持し、内乱・革命によって打倒されることを防ぐ。この一点で、帝国主義にとって成立の根本条件となっている。ここでの労働者の闘いこそが帝国主義を打倒し、団結を形成し、未来をつくっていく戦場そのものだという立場に立っていきたい。社会保障の矛盾が深まっている今日こそ、ここに大胆に踏み込んで労働者の攻勢に転じていくことは可能だと思う。とことん新自由主義イデオロギーと社会保障の矛盾をついていきたいと思う。

●社会保障制度が常に「戦争と革命」と密接に関係していたという歴史的事実が、制度の破綻が帝国主義の危機の表現であるという指摘に確信を持たせてくれる。また、社会保障制度はきわめて普遍的な全人民的な課題=関心事であるがゆえに、社会保障制度の問題が社会問題化する情勢は、ある意味で「革命情勢の成熟、接近」と言いうるのではないだろうか? そこに火をつける火花となるのは、もちろん社会保障に関わる労働者の訴えであり、行動だ。
 最近、自治体の現場では、介護・医療の分野で「予防」という考えが喧伝されている。コスト削減のためと説明されているが、こうした動きをとおした住民監視、管理社会の強化といったことも企まれているように思う。

●帝国主義と労働者階級は共存できない、打倒しなければならないとあらためて決意を固めました。年金・福祉・社会保障の民営化をめぐって、知らないことが多いことを突き付けられた思いがします。かつて中曽根が「枯れ木に水をやる必要はない」と暴言を吐きましたが、今日、それが現実に日帝によって行われはじめている、さらに徹底的に激しく労働者階級に襲いかかってこようとしている。このことに対し怒りで胸がかきむしられる思いがします。講義で話された例のすべてが怒りに耐えないが、後期高齢者医療制度の問題、終末期医療の治療中止ガイドライン策定は、中曽根暴言を文字通り現実のものとするということです。中曽根発言の際は、ヤツの「暴言」ととらえましたが、それを現実に行おうとする。こんなことを絶対に許すことはできない。
 問題は日帝(帝国主義)がもやはどうしようもない危機に突入しているということ。労働者を食わせていけないだけでなく、「役に立たなくなった」高齢者病人は生かせておくことも出来なくなっていること。この帝国主義を打倒しようということです。

●最初はなぜ年金危機=労働運動、革命の問題か不透明だったが、学んでいくうちに理解できました。
 年金問題で社保庁の解体、医療保険の改悪、非正規の拡大もすべて、国家、資本の問題であって、現場で働く私たち労働者のせいではない。それを社保庁は「賞与返納」など、労働者のせいにする。それを体制内労働組合は応じたが、7%以上1200人の労働者は拒否した。私の職場でも安全を無視した非正規の拡大、外注化などが進行しています。現体制内労働組合はそれに反撃することすらしません。体制内労働運動からの脱却を掲げて闘うと弾圧・処分を資本と体制内執行部が行ってきています。
 しかし、私たち労働者が、地域・職種を超えて団結し闘えば、革命は出来るはずです。その火種は各地でくすぶっていますが、団結できていないのが現実です。いまこそこの資本主義を解体し、われわれ労働者が主人公になるため革命を起こしましょう。

●要点をとらえた分かりやすい講義で為になりました。社会保障という人生の根幹をなす重要な問題を「自助」や「共助」などという抽象的な問題で済まそうとする既体制は無責任の極みであり、国民への反逆そのものだ。資本主義にはもやは未来の展望は示せないし、国民に嘘、偽り、幻想を振りまく政府、資本家どもは打倒する以外に、われわれ労働者、農民の生きのびる術はないのだと再確認した。

●自治体民営化攻撃は、社会保障制度解体攻撃と一体です。そして闘いのキーワードが資本家階級と労働者階級の階級闘争という視点から捉え、その立場から闘いぬくことが必要だと実感しています。

●労働者は資本にとことんしぼりとられ、心身ともにボロボロにされ、「将来のため」と安月給の中から年金や健康保険料を長年ピンハネされてきたのに、いざ福祉の対象年齢になると「邪魔者」扱いで切り捨てられる。
 一方、資本家や政治家どもは手厚い医療と高額のサプリメントで幾つになっても脂ぎった顔をして労働者いじめ、戦争策動を行っている。まったく許せない。自立支援法は「自殺支援法」と揶揄され、あまりのひどさに障害者、家族はじめ全国の民衆が立ち上がり、政府や民主党も一部修正を言わざるを得なくなっている。フザケンナ!というこうした決起をあらゆる領域(とりわけ医療、自治体労働者)で爆発させればこんな腐った社会を必ずひっくり返せるし、そうしなければならない。

●社会保障制度は資本主義社会において労働者の内乱を押さえつける制度としてあるという点は理解していたが、社会保障をせざるを得なくなった歴史的経過も、資本に対する労働者の運動からであったということがよく分かりました。国家と資本家と労働者が折り合いをつけて生きていけた時は有効であったものが、今の時代の様に資本主義の崩壊の時代→帝国主義の争闘戦の時に帝国主義が生き延びるために、労働者の生活の保障もしない、労働力の再生産もさせることが出来ないほど、資本家も余裕がなくなっている。国家も資本家と同様に憲法違反を次々と仕掛けてくる。→これを労働者の側から見れば攻撃としてではなく、国家も資本家も根本的なところで弱点をさらけ出しているんだ、労働者のチャンスなんだと見ることが出来ると思いました。現在の世界の資本家が同じ弱点を誰の目にもあきらかな状態でさらけ出しているからこそ、世界の労働者は同じ立場で団結できるし、資本家と違って団結できるという確信を持ちました。職場の中でそういう姿勢で仲間の団結をつくっていきたいと思います。

●今回初めて参加させていただきました。福祉職のため、今回のテーマである医療・福祉現場の民営化への動きは、実感をもってお話を伺いました。常々、この現状に至った原因は何なのか、どのような経過をたどってきたのか知りたいと思っていましたので、歴史的背景を合わせて一通りの流れをもってお話を聞けたことで、現在の問題はある程度、資本主義のたどる経過として必然性をはらんでいたことを感じました。福祉の現場で働く者として、民営化の波を押しとどめ、医療や福祉の切り捨てを許してはならないと思っています。

●・社会保障は帝の予防反革命(=他方労働者階級からかちとったもの)。ただきわめてずさんなものだった。ロシア革命と30年代的危機に対する帝国主義の対策。ただそれが可能だったのは、巨大な力を持つアメリカ帝国主義が台頭したから、国家独占資本主義的な諸方策と密接に結びついている。74〜75恐慌による国家独占資本主義の決定的行き詰まり→新自由主義への転換=全面的民営化=社会保障の全面解体へ。→生存にかかわるところで体制破綻として猛烈に爆発しているということ=革命の問題に直結している!
・「社会保障」を掲げて世代間勘定論を打ち出してくることに闘うことの重要性。国と地方公共団体の1000兆円の赤字は、社会保障のせいではない!このまやかしと闘うことも重要。

労働者学習センター事務局
千葉市中央区要町2−8 DC会館 電話 043-222-7207 FAX 043-224-7197

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