5/16JR東日本本社
  「新たなジョブローテーション」解明交渉
      安全と労働者の権利を奪う
   「運転士・車掌廃止」絶対反対!
   5月16日、動労総連合申3号の組合要求に基づき「新たなジョブローテーション」に関する解明の団体交渉をJR東日本本社と行った。会社が〝厳しい経営環境〟〝持続的な成長〟を掲げて労働者に犠牲を強いるものであることがますますはっきりした。「運転士・車掌廃止」粉砕へ全力で闘おう。 
   
  ◎「同一担務10年」で安全が守れるか 
  組合 技術は労働者一人ひとりに蓄積される。10年以上の経験が詰めないとなると、技術レベルが浅くなるのではないか。 
    会社 個の技術ではなく、職場として技術継承を行う。ベテランがいなくなったら途絶える技術ではなく、職場に技術を残す。個人がいなくなっても引き継げる体制を作る。 
    組合 運転士を20年やっても経験しないこともある。10年で十分だと思っているなら間違いだ。 
    会社 今、運転士でいる人がずっと運転士なら、今後入社してくる人は運転士になれない。同じ世代に運転士が固まることを防ぎたい。 
    組合 運転士になるまでには、駅、車掌とすでにいろんな経験をしている。 
    会社 より多様な経験を積んでもらう。将来的なワンマン運転、ドライバレス運転を掲げている。トータルに業務をしていく時代が来る。それに合わせた制度だ。 
  ◎「10年で異動」も犠牲を強いる施策 
  組合 ずっと運転士や車掌でいたいという人も多くいる。異動でも現場労働者には生活がある。どこへ行かされるのかという不安がある。地方は特に50㌔、100㌔という異動もある。生活形態が全く変わってしまう。労働者にとっては犠牲を強いるものとしか見えない。 
    会社 3年目に将来についての面談を行う。概ね10年で見て、2、3年で異動する人もいる。 
    組合 2、3年で異動というのは本人からの希望でか? 会社都合での異動もあるのか? 
    会社 どちらの場合もありうる。 
    組合 ライフサイクル制度では駅に行って3年で元の区に戻った。今度は運転士から駅に行った場合の赴任期間はどうなるのか。 
    会社 あくまでも同一担務10年のしばりになる。 
    組合 運転士に戻れる保証はないということか。 
    会社 そうだ。他区で運転士をする人もいるし、違う経験をしてもらう人もいる。 
    組合 それをすべて「任用の基準」でやるというのか。今までよりずっと暴力的だ。 
  ◎ 試験廃止の理由は何か? 
  組合 乗務員への登用も、一般の異動のように突然辞令がでるのか。 
    会社 何度か本人とのやり取りはある。10日や14日前に伝えてということは現実的に難しい。 
    組合 研修に入る前に、その後の配属先がわからなくては困る。 
    会社 今は車掌の場合、その区所にいってから研修になる。運転士は学科講習に合格してから発令になるため、車掌のまま研修に行く。今後については研修の時期も含めて検討中だ。 
    組合 試験廃止による会社のメリットは何か。 
    会社 今まで一律的だった運用が柔軟になる。駅から運転士に直接行けるようになる。 
    組合 希望に関係なく柔軟に運用するのか。 
    会社 全員は希望通りいかない。面談などで希望を聞く。今は運転士になるのが20代後半。女性が出産と重なると運転士試験に受かっても研修所に入れない人もいる。駅から直接ならば入社3年目ぐらいで研修を受けられる。 
    組合 試験があったらできないのか。これから管理者や支社の判断だけになるのではないか。 
    会社 試験廃止で柔軟に登用できる。管理者がしっかり社員を見るということが非常に重要になる。希望していない職になった人は与えられた業務を頑張ってもらうしかない。 
    組合 希望に反して違う職種につかされることは、仕事への誇りや情熱を否定することだ。 
    会社 誇りや情熱を否定するつもりはない。様々な経験で安全やサービスレベルが向上する。 
    組合 国交省から警告文を出されている。 
    会社 社員として与えられた職務をやってもらう。教育訓練で安全レベルの向上を図る。 
    組合 乗務係で運転担当も出てくるのか。 
    会社 現時点で運転士で指導職でない人はいないので、それが下がることはない。新たに運転士になる場合、指導職試験に合格しないと乗務指導係にはならない。 
  ◎「出世」の強制をやめろ! 
  会社 なりたい職種があれば面談で伝えてもらう。与えられた仕事だけダラダラやっているのではダメ。指令や管理者を目指すなら、必要なことを考えなければいけない。 
    組合 車掌や運転士のままでいることはダメだといいたいのか。 
    会社 多様な経験を積んでもらいたい。中には車掌や運転士の仕事を続ける人もいる。 
    組合 出世を目指すことを強制するのか。 
    会社 これまで社員は、会社の敷いたレールの上に乗っかっていて受動的だった。これからは自分でキャリアプランを考えられる。 
    組合 動労千葉や動労水戸には、「任用の基準」で免許がありながら運転士を希望しても登用されなかった組合員が何人もいる。「挑戦意欲」を否定してきたのが会社ではないか。「任用の基準」でまた差別するつもりなのか。 
    会社 挑戦意欲を削いできたということはない。 
    組合 客観的な数字が基準になる試験が廃止されれば、会社の恣意的な運用につながる。 
    会社 ケースとしてないとは言えない。会社としては必要なところに必要な社員を配置する。 
  ◎ 競争と蹴落とし合いの職場にするな 
  組合 現場の管理者に気に入られなければ乗務員になれないのか。 
    会社 支社も入れて判断する。愚直に業務に取り組んでいくことが一番大事だ。 
    組合 運転士や車掌の仕事を無事故でやっていても。全員がそうなら仕事以外にマイプロを「自分の意志」でやる人が優先されないのか。 
    会社 マイプロも業務としてやっている。運転だけしていればいいというわけではない。 
    組合 無事故で乗務することが仕事だ。そうでなければマイプロは全員に強制なのか。自分の意志でやっているのではないのか。 
    会社 業務としてやっている。 
    組合 そういうことをやらなければ、運転士や車掌になれなくなるのではないか。 
    会社 それは社員がどう考えるかだ。 
    組合 職場では特に若い人が不安に思っている。早めに出勤して、仕事が終わっても残っている。試験廃止は管理者に気に入られないといけないという思いにさせる。マイプロで乗務時間に引っかかった人も出ている。 
    会社 その人はマイプロがなければ絶対に時間に遅れないのか。 
    組合 事実、乗務時間に遅れて騒ぎになった。評価を得るためにやって問題が起こっている。 
    会社 その人は評価を得るためにやったと言っているのか。全員がそうだというのか。 
    組合 不利益な扱いをされないためにはマイプロをやらなければならないという意識は間違いなくある。この提案が出た後に精を出す人が急に出てきたという話もある。蹴落としあいになるような職場を望んでいるのか。 
    会社 マイプロをやっているかどうかで良い、悪いと仕切るつもりはない。 
    組合 目指す社員像では、「作業ダイヤに指定された業務+仕事や価値を創りだす」とある。 
    会社 無人化や自動化が進む。人間にしかできない仕事をやってもらいたいということだ。 
  ◎「厳しい経営環境」とは何か? 
  会社 基本的には今後の人口減少、生産年齢人口が減少するという環境の変化だ。 
    組合 採用の考え方を変えたのか? 
    会社 「総合職」「エリア職」は社会一般的な言葉に言い換えただけだ。コースも「事務系」「技術系」と分かりやすくした。採用数は毎年発表段階で考える。将来的には、もっと業務を効率化し、大量退職に備えることになる。 
    組合 採用が厳しいなら高卒枠を増やせばいい。 
    会社 エリア採用で約8割程度が大卒だ。高校を訪問しているが進学が増えている。 
    組合 「これまでのライフサイクルは硬直的」とあるが、どの部分が硬直的なのか。 
    会社 駅から車掌、運転士と固定されていた。今後の変化に対応するために柔軟な制度を導入する。会社として生き残っていけない。 
    組合 そのためには労働者は柔軟に使うということか。労働者を犠牲にするということだ。 
  ◎ 車掌を経ずに運転士にする理由は? 
  会社 車掌業務の変化への対応、入社年齢の上昇、育児・介護などへの対応ということだ。 
    組合 車掌を経験することで運転乗務としての知識や列車防護などの安全対策が身につくといわれてきた。車掌で経験すべき安全の知識や経験が失われることに問題はないのか。 
    会社 運転士研修に列車防護の時間はある。シミュレーター等の研修システムもあり、十分に補える。安全が脅かされることはない。 
    組合 「多様な業務経験」と矛盾していないか。 
    会社 運転士でもワンマンなどで車掌業務も経験できる。運転士になったあと車掌を経験することも出てくる。 
    組合 ワンマン化や自動運転で車掌を大幅に減らすからということではないのか。 
    会社 今後の車掌業務はもちろん変化が起きる。 
    組合 中途採用者の乗務員への異動を可能とする目的や理由は何か。 
    会社 さまざまな業務変化等に対応するためだ。 
  ◎ 運転士・車掌の込み運用 
  組合 運転士・車掌の込み運用を考えているのか。 
    会社 提案資料で運転士の丸の中に車掌が含まれているのはそういうことだ。運転士の仕事ができる人は車掌もできる。効率的な方法を検討していく。 
    組合 将来の乗務係は運転士資格が前提なのか。 
    会社 車掌の仕事がなくなればそうなっていく。 
    組合 乗務係になると標準数はどう考えるのか。 
    会社 行路が分かれていれば別々に考える。込み運用になれば融合も考えていく。ダイ改に合わせて各支社内で提案することになる。 
  ◎ ワンマン運転・ドライバレス運転 
  組合 ワンマン運転拡大を考えているのか。 
    会社 ドライバレス運転もそうだが技術革新が必要だ。できしだい提案する。具体的にどの線区でいつからかは示せる段階ではない。中長編成のワンマンについては、基本的に全扉開扉のホームドアを前提に検討している。 
    組合 実証実験が終わって、20年度からワンマン運転拡大と報道されている。水戸支社や仙台支社は車両も作ってある。 
    会社 実施前には提案する。それまでに車両改造や走行試験などを行うことは必要だ。 
    組合 現在は地方でワンマンが多いが、今後も地方で拡大するということか。 
    会社 ワンマン運転やドライバレス運転は、首都圏を含めて利用状況を見ながら検討する。 
    組合 ドライバレス運転の対象はどの線区か。 
    会社 すべての線区を対象に検証していく。 
    組合 ドライバレス運転を導入した場合、運転士や車掌の業務をなくそうとしているのか。 
    会社 それは法律次第で、国とのやり取りが必要だ。会社だけで決めることはできない。 
    組合 運転士、車掌を10年でたらい回しする制度には反対だ。安全にかかわる。撤回を求める。 
  会社 20年4月1日から運用を開始する考えだ。  |