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出向と偽装請負の駅業務外注化絶対反対!

曖昧な「情報」や指示では第2の川崎駅事故に!

 JR千葉支社は、4月1日から、下総中山、検見川浜、土気、八幡宿、長浦の5駅を千葉鉄道サービスに業務委託を行おうとしている。
 しかし、駅業務を委託した場合、これまでJRで行っていた駅業務の内、どの業務を行うことができて、どの業務を行うことができなくなるのかについては明らかになっていない。
 駅業務は、乗客が切符を買って乗るだけの場所ではない。列車を運行するにあたっては乗客と列車の安全を守るためになくてはならないところだ。乗客や列車の安全に直結する場所であることを考えれば、鉄道業務から切り離して、CTSなどのグループ会社に委託することなどできないはずだ。
 しかしJRは、こうしたことを無視して、「駅の規模に関係なく」駅業務の委託を拡大しようとしているのだ。4月1日からの5駅の業務委託は、駅業務委託拡大の本格的な始まりだ。
 動労千葉は、団体交渉において、業務委託に伴い駅における業務の取り扱いについて解明を求めるとともに、JR千葉支社の姿勢を徹底的に糾弾してきた。

5駅業務委託で33名が若年出向に出されている!
 JR千葉支社との団体交渉は、3月27日に行われ、この中で動労千葉は、@4月1日に業務委託を行おうとしている5駅の要員体制等について、A業務委託に伴い委託で行う業務及び行えなくなる業務の詳細、B総武緩行線における乗降終了合図中止の試行に関する取り扱いなどについて解明を求めた。
【5駅の要員体制等について】
 JR千葉支社は、業務委託しようとしている5駅の要員体制について次のとおり回答を行ってきた。「表1」でも明らかなとおり、今回の5駅委託にあたっては、若年出向33名、エルダー1名の要員体制で行うというものだ。
 一方、駅の予備要員の取り扱いについては、「今の段階では回答できない」という有様だ。今の段階で予備要員の考え方を回答できないということ自体、今回の業務委託を行うことができないということだ。
 駅業務に関しては、みどりの窓口がないため出札は行わずに全て券売機対応とし、乗り越し等の精算業務は行うとしている。このため新幹線等の切符を購入する場合には、みどりの窓口がある駅を紹介し、その駅まで乗客を行かせるというのだ。この場合、JRの都合でみどりの窓口設置駅まで行かなければならないため、この場合には往復の交通費をJRが負担するとの回答を行ってきた。

JR千葉支社ー明確な回答ができずに、後に変更!
 さらに重要な問題として、駅業務が委託された場合、列車や乗務員との関係がどのように取り扱われるのかが最大の問題となってくる。
 こうしたことから動労千葉は、これまでJR直営で行っていた駅業務について、委託駅においてはどの業務を行い、または行わないのかを明らかにするよう、解明を求めた。
 JR千葉支社は、「表2」のとおり回答を行ってきた。
 この中で、人身事故の対応については、人身事故が発生した段階では、指令とJRの管理駅に報告した後、JRの現地責任者が到着するまでは乗務員が責任者となり、乗務員とともに人身事故の対応を行うというのだ。この場合、団交時は、乗務員が線路に降りて被害者の救出を行い、CTS側は乗客等の安全確保を行うためホーム上での対応を行うとの回答であった。しかし、団交後、乗務員とともに線路に下りて双方で救出を行うとの対応を行うとして、回答の変更を行ってきた。
 しかし、委託業務に対しては乗務員や現地責任者はCTS側に指示することはできない。しかも、CTS側の作業責任者は駅には配置されていない。駅に設置されているマニュアルに基づき行うとなっていると回答しているが、人身事故は現場によって対応が異なるため、どのような方法で救出するのか等、責任者の指示がなければ救出できないはずだ。
 そして、運転再開判断はJRが行い、CTS側は状況報告書を管理駅に報告するという対応だ。

ITV故障ー指令からの「情報」だけで出場?
 また、ITV(車掌用のテレビモニター)
が故障した場合の対応については、車掌から指令に連絡し、指令から委託駅に対して「ITVが故障している」との「情報」を流し、その情報に基づいて委託駅担当者がホームに行って乗降終了合図を車掌に送るというのだ。
 この場合も、指令から出されるのはあくまでも「情報」であって指示ではないというのだ。しかも、指令からの「情報」が出された場合、CTS側ではマニュアルに基づき対応することになっているという。しかし、状況は様々であり、具体的な問題が発生した場合にはJRからの指示なしに動けないのが実体だ。
 さらに、ドア故障が発生した場合の対応では、委託駅の場合には、ドア故障が発生した車両については空車扱いにすることが基本になり、空車扱いできない場合には、運休することになるとの回答を行ってきた。
 空車扱いにする場合、CTS側は、指令とJR管理駅に連絡した後、乗務員が責任者となって乗客を他の車両に移動させ、CTSは非常用の幕を張るところまで行い、その後の運転再開はJRで判断するという回答だ。
 また、運転士が駅到着時、汽笛により駅員を呼ぶ場合があるが、委託でも同様に呼ぶことができるとの回答だ。しかし、運転士が呼ぶ場合には、状況の確認等具体的な指示が行われることになるが、CTSに対しては指示することはできない。そのため、運転士が呼んだとしても、委託駅のCTS担当者に指示することができないため、具体的に何をどうするのかについては具体的な回答はできないという状況であった。
 その他の項目についても、様々な問題点があることから、再度検討を行い再申しいれ・団体交渉での追及を行こととする。

車掌の車内放送は、JRによるCTSへの指示だ
 一方、JR千葉支社は、「乗降終了合図の見直し」を行うため、5月20日以降、総武緩行線の浅草橋、両国、亀戸、平井、新小岩、小岩、市川、本八幡、下総中山、東船橋、幕張本郷、幕張、検見川、稲毛、西千葉の各駅において、ホームに出場する時間帯において、乗降終了合図を行わないとの「試行」を行うとの提案を行ってきた。
 これは、4月1日に業務委託となった下総中山駅が含まれていることからも分かるとおり、今後、駅業務を拡大するためにできるだけ業務を縮小しようとするものであることは明白だ。
 そして、今回の「試行」にあたっては、委託駅でも同様にホームに出場する時間帯に乗降終了合図を行わないとの対応が行われる。
 朝夕の時間帯は乗客が多いため、車掌が乗降客の安全を確認できない場合がある。この場合、車掌は、車内放送を使って委託駅のCTS担当者に対して、「業務放送、駅社員、確認をお願いします」との放送を行って「補助」を「要請」し、これに基づいてCTS担当者は車掌への乗降終了合図を行うというのだ。
 しかしこれは、車掌から委託駅のCTS担当者に対する明確な指示に他ならない。通常、JRでも指令から「○○の確認をお願いします」とか「蛍光灯交換お願いします」という具合に指示が行われている。
 こうしたことを考えれば、今回の委託駅で車掌が「駅社員、確認をお願いします」との放送をCTS担当者に行うことは、JRからCTSへの直接指示であり、偽装請負だ。
 動労千葉からの指摘に対してJR千葉支社は、全く回答ができずに沈黙してしまう状況だ。最終的には、「偽装請負の観点から見ると、そう見られるかも分からない」との回答をせざるを得ない状況だ。

労働者への責任転嫁を許すな!責任は東労組にある!
 しかも、最大の問題は、駅業務委託に伴う業務上の問題やJRからCTSに直接指示せざるを得ない状況があるにもかかわらず、こうしたことを全く問題にもせず、JR東労組などは会社側の言いなりになって業務外注化を率先して進めてきたということだ。
 その結果、駅業務や運転取り扱いの関係や、偽装請負に対して曖昧なまま事態だけが進行し、労働者は出向させられるという形で犠牲が全て現場労働者に押しつけられている状況だ。
 こんなことが進めば、第2の京浜東北線川崎駅事故がまた起こってしまう。
 業務外注化粉砕!偽装請負糾弾!組織拡大へ全力で闘いぬこう!

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!


 
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