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鉄道運輸機構に解雇撤回と団交開催を求めて申し入れ

7月19日、動労千葉と動労千葉争議団は、6月29日に東京地裁・白石裁判長が、「名簿不記載基準を策定したことは不当労働行為」との判決を下したことに踏まえ、鉄道運輸機構に対して、解雇撤回と不採用問題の解決に向けた団体交渉の開催を求めて申し入れを行った。
 申し入れに対して鉄道運輸機構の担当者は、「全て裁判で判断してもらう」「申し入れ受理と団交開催は拒否する」との不当な対応を行ってきた。しかし、動労千葉と争議団が、申し入れ不受理と団交開催拒否は不当労働行為であることを1時間にわたり徹底的に追及すると、最終的に鉄道運輸機構の担当者は、申し入れを受理し、今後の対応は別途窓口で調整することを確認した。
 鉄道運輸機構は、不当労働行為を謝罪し、解雇を撤回しろ!不採用問題解決に向けて団体交渉を開催しろ!

動労千葉申第38号
2012年7月19日

鉄道建設・運輸施設整備支援機構
 理事長 石川 裕己 殿

                  国鉄千葉動力車労働組合
執行委員長 田中 康宏
                  動労千葉争議団 団長 高石 正博

東京地裁判決に関する申し入れ

 6月29日、東京地裁民事11部・白石裁判長は、動労千葉に所属する組合員12名が、一旦はJRへの採用候補者名簿に登載されていたにもかかわらず、急遽、名簿から削除されたことについて、「国鉄が、不当な目的・動機に基づいて名簿不記載基準を策定したことは、国鉄に与えられた裁量権の逸脱ないし濫用にあたり、動労千葉組合員をJR東日本の採用候補者名簿に記載しなかったことは不法行為」だとして、国鉄=鉄道建設・運輸施設整備支援機構の不当労働行為を認定した。
 「名簿不記載」が不当労働行為だと認定された以上、現状回復しなければならないことは明白である。
 従って、下記のとおり申し入れるので、団体交渉により誠意をもって回答すること。

1.6月29日の東京地裁民事11部判決により「採用候補者名簿に記載しなかったことは不法行為」と認定されたことに踏まえ、解雇を撤回するとともに、団体交渉により、不採用問題の解決を図ること。

−以   上−


 組合差別を認定しても、
解雇を無効と言えない判決の不条

 動労千葉組合員12名をJRの採用候補者名簿から排除したことを不当労働行為と認定した6月29日の東京地裁判決に関して、「組合員を解雇に追い込んだ違法な組合差別を認定しても、解雇を無効と言えない下級審判決の不条理さは、子供でもわかる」として、『週刊金曜日』(7/13)に掲載された高島伸欣琉球大学名誉教授の寄稿文を掲載します。

継続中のJR雇用問題無視する
メディアには「教室」の審判の時
高 嶋 伸 欣 

 かつて、共産党独裁のソビエト連邦が崩壊した要員の一つが、情報操作が不可能になり、国内外の実情が国民に知れ渡ってしまったことだった。独裁下の共産党機関誌『プラウダ』は、紙面最下段のベタ記事から読め、と言われていた。
 ベタ記事にこそ重い意味と情報が秘められているという点では、今の日本の新聞もかわりない。六月三〇日付の『毎日新聞』(東京本社)夕刊、第二社会面下段の記事もそれだ。
 旧国鉄分割・民営化の際、千葉動力車労働組合員をJRの採用候補者名簿に記載していたのに対立セクトの入れ知恵で、不当に差別する目的の採用基準を新設して排除したのは不法行為である、との判決が東京地裁で出されたと伝えた。
 国鉄民営化とJR各社への分割に反対した労働組合員の再雇用を拒否したJR不採用問題は、二五年間続いている。主要組合だった国労は、民主党政権発足後の二〇一〇年に政治和解を受け入れ、数人の離脱・訴訟継続者を除き、闘争を終結させた。そのため、この問題は、終了したかの観が一般には広がっている。
 さらに、国策におる労働組合潰しのための解雇には、あくまで抵抗するとの意思を堅持している千葉動労組合員も、裁判を継続している。JR採用問題では、〇三年の最高裁判決で、JRに再雇用の法的な責任はないとされた。司法が組合解体という国策を優先して、労働者の権利保障が二の次にされたケースだ。
 そのような最高裁判決の下で、組合員たちは、再雇用拒否の違法性追求をやめていない。その取り組みで得たのが、今回の六月二九日、東京地裁民事11部(白石哲裁判長)判決だ。
 同判決は、名簿からの九人削除を組合差別による不法行為だ、としている。最高裁が不当な判断をしたものを、個別事案ごとに検証することで、下級審が違法性を明確にさせられつつある。東京高裁は、最高裁の判例に拘束された判断を示すのか、違法性をさらに明示するのか、見識が問われる。
 その高裁の審理の際に、当事者以外のマスコミや一般市民・労働者の関心が集中するかどうか。それには、マスコミの報道が必須の条件だ。
 組合員を解雇に追い込んだ違法を組合差別と認定しても、解雇を無効と言えない下級審判決の不条理さは、子供でもわかる。その司法の不条理を質すのは主権者国民の世論であり、世論を支えるジャーナリズムの役割だ。
 来年4月から使用される高校「日本史A(近現代史)」教科書には、「戦後政治の総決算」を標榜する中曽根内閣の下で、労使協調路線の「連合」と労働者の権利維持を図る「全労連」とが発足した、と明記された。JR再雇用問題は終わっているとの風潮の中で、『毎日』以外はこの判決を報道していない。ベタ記事で若者は日本の現実を学ぶ。ここでもまた「貴社は教科書に学べ!」と言わねばならない。ことは人数の大小やセクトの問題ではない。

たかしま のぶよし(琉球大学名誉教授)

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
 
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