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京葉線輸送混乱と異線現示問題で
 千葉支社と交渉

 7月19日、京葉線二俣新町駅において、信号機故障が発生し、これにより京葉線が終日にわたって大混乱するするという事態が発生した。また、この輸送混乱により異線現示が多数の駅で発生し、とくに蘇我駅での異線現示では、運転士からの緊急の呼び出しを行ったにもかかわらず、適切な指示等も行わずに一方的に無線を切るという不適切な対応が行われたことなどから、申26号を発出し、8月21日に千葉支社との団体交渉を行なった。

京葉線のみを先行して運転再開
 7月19日の二俣新町での信号機故障による輸送混乱の経過について千葉支社の回答は以下のとおりとなっている。

14時22分 二俣新町駅で上り第2場内信号機の不具合発生。
14時33分 1432Eを南船橋駅に収用。
15時頃 対策会議を開催し、駅間停車列車の対策を協議。
16時9分 信号機点検終了し、引き試しを行う。
16時20分 運転再開(西船橋〜東京間は運休)
16時30分 京葉線内のみ運転を始める。
17時17分 武蔵野線の京葉線への運行を始める。
18時頃〜 東京駅において番線の輻輳が始まる。PRCにより列番変更の入力などを行うが、駅等での入力の遅れが発生し、運行に影響。
19時20分 かなりの列車が遅れを持って運転している状況。

 結局、この日は正常運転には戻らず、最終場面でも10分程度の遅れを持っての運転となる。
 また、列車の運行については、運転再開後の2時間程度はA電(快速)についても各駅停車化して運行し、18時頃から快速も含めた運行を行ったとの回答を行ってきた。

武蔵野線乗り入れで混乱が拡大
 しかし、当初16時30分頃から運転を開始したにも関わらず、運転再開の3時間後には相当の遅れをもって列車が運転せざるをを得ない状況となっている等、運転再開の計画自体に問題があったことは明らかだ。特に、運転の再開については京葉線と武蔵野線を同時に開始せず、京葉線を先行させて1時間後に武蔵野線を入れたため、余計に混乱を拡大する結果となっている。この点について千葉支社は、「京葉線のみの運行なら混乱がないと判断した。しかし、武蔵野線が入ってきたために京葉線の列車変更が発生し、そのために時間を要した」として、列車の運行計画に問題があったことを認めるざるを得ないという状況であった。
 また、輸送混乱時については、快速列車の運行を中止して各駅で統一して運転することをこの間も動労千葉はことあるごとに要求してきた経緯があるが、今回についても動労千葉の要求に基づき2時間程度は各駅化して運行したとしているが、結局快速列車を運行したことで混乱がより拡大する結果となっているのだ。動労千葉はこうした結果から、武蔵野線を遅れて入れるなどの問題や快速列車の投入の時期、列車運行と駅の放送案内の内容が全く違うために多くのトラブルが発生している状況などを踏まえて、より緻密な計画を行うように追及してきた。

異線現示にも関わらず一方的に無線を遮断
 一方、この輸送混乱により異線現示が多数発生しているが、この内、千葉転5060F担当運転士が蘇我駅上りの場面で異線現示を発見し、停車後に緊急の割り込み無線で指令を呼び出し、異線現示であることを報告したにもかかわらず、指令員が一方的に無線を切るという事態が発生した。運転士が割り込み無線を行う場合は、相当の緊急事態であるにも関わらず、報告内容を受けたにも関わらず適切な指示も行わないまま一方的に無線を遮断するという対応自体あってはならないことだ。
 京葉線の輸送混乱に伴い蘇我駅で機外で待機している列車については信号に従って停まっているという点では信号現示に従って停車しているということになるが、異線現示の場合はこれと全く違う、緊急性を要する場面であり、「異線現示」と聞いた瞬間に真っ先に対応を考えなければならない場面だ。こうした内容であるにもかかわらず、他の列車を呼び出していたから対応できなかったというのは、本来の指令の位置からいって問題だといわなければならない。
  これについて千葉支社は「指令員の言葉足らずがあったことについては指導し、対応する」との回答を行ってきた。また、この日には、京葉線の3箇所(東京、葛西臨海公園、新木場)と蘇我駅の計4箇所で異線現示が発生していることも明らかになった。

昨年7月の引き試しでは発見できず
 また、二俣新町駅上り第1場内信号機の故障原因について千葉支社は、信号関係の配線接続端子の挿入が充分でなかったために電気が通らなくなり、このため上り第1場内信号機の進路が構成できなくなったとしている。しかし、配線の差し込み等は人間の手によって直接行われることは明らかで、いつ施工され、どのような点検が行われたのかを質したところ、88年12月の京葉線暫定開業に合わせて、鉄建公団が施工したもので、JRが直接行ったものではないとの回答を行ってきた。
 また、点検については、明確な検査周期等は決められていないが、年1回程度は引き試しを行い、ルート構成が行われるかを確認していると回答してきた。今回故障した二俣新町駅構内の信号機関係については、昨年7月頃に、貨物列車の京葉線乗り入れに伴う対策の一貫として引き試しをおこなっており、その時には信号機の不良は発見されなかったとしている。
 また、千葉支社は、今回の事故後同様の箇所について一斉点検を行ったところ、二俣新町駅で4箇所、潮見駅で2箇所、千葉みなとで1箇所の挿入不良が発見されたとしている。信号機設備には明確な検査周期はないとしているが、設備である以上何らかの検査は必要であること、また、この間においても、検査を行った際の最終的な確認ミス等により列車の運行に影響を与えていることから、確認の徹底を図るべきであることの追及を行ってきた。