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外注化阻止へ 
〜職場から反撃を開始しよう〜

 検修・構内業務の全面的な外注化攻撃に関して、日刊5358号においては、幕張電車区を例に上げながら、外注化された場合の職場の状況がどのように変化するのかについて明らかにしてきた。
 今号では、検修職場の年令構成をもとにしながら、JR東日本が進めようとしている検修・構内業務の外注化が如何に展望のない攻撃であるかを明らかにしていく。

人数は50歳以上に圧倒的に集中
 下の「グラフ」は、現在の幕張電車区、習志野電車区、京葉電車区、木更津支区の検修及び構内関係の年令構成を具体的に記したものである。
 一目で見て分かるとおり、今年度57歳になる人から51歳までの7年間に人数が圧倒的に集中しており、50歳以下の年令については多くても10名程度という状況になっている。また、51歳以上の中でも54歳、56歳については10名程度となっていることがよく分かる。一方、国鉄当時に新規採用が停止された83年以降(グラフの37歳以降)については、ゼロの部分があるなど、年令構成上も極めて歪んだ状況となっている。

要員の確保が最大の課題に
 検修・構内業務の外注化に関する会社側の提案では、年金満額受給年齢までの間を「再雇用」するとして、業務については交番検査の場合はユニット単位、構内入換業務については業務単位での委託としている。しかも委託を行うにしても「シニア制度」によって関連会社に採用される労働者の数が、業務を維持するだけの一定の人数にならなければならない。しかも、それを毎年毎年確保しなければならないのだ。
 しかし、「グラフ」でも明らかなように「シニア制度」を導入された今年度以降数年は要員が仮に維持されたとしても、10年後には外注化された業務自体が全く維持できない状況となってしまうことは明らかだ。また、その途中の56歳と54歳の場面で人数が足りるのかという問題も発生せざるを得ない状況だ。
 「シニア制度」での再雇用は、「年金満額受給年齢まで」とうたわれている以上、「シニア社員」の確保ができなくなったから「再雇用」期間を延長する、ということにはならない。そうである以上会社側としても、この年令構成の歪みという問題が、最大の課題になっていることは間違いない。

直営に戻っている大修の問題
 一方、現段階ですでに委託になっている大修作業については、要員が確保できないことや作業が重労働であるということから、現在ではJR直営に一旦戻されている。大修作業の場合には、モーターやMG、クーラー交換などがあるが、この作業自体は毎日あるわけではない。こうした作業ですら要員が確保できないという状況であるにもかかわらず交番検査や構内入換業務、そして現在直営で行っている大修についても元の委託に戻すということが本当にできるのかという問題に直面せざるを得ないということだ。

構内運転希望は半数が辞退
 一方、会社側は、構内運転の要員を確保することを目的に、現在出向に出ていて運転士の経験がある41名に希望調査を行ったというのだ。しかし構内運転の希望者は20名程度で半数が辞退したという。これは、運転事故の場合、本線よりも構内での事故発生率が高くなっていることなども含めて「もう運転は後免だ」という気持ちが強くなって辞退したということだ。
 検修関係についても、交番検査では制輪子やディスクの交換作業など重い部品の交換を行うが、これらの作業にしてもピットに降りて台車の脇から交換したり、あるいは電車の下にもぐり込んで交換するなど、重労働となっている。こうした作業を「シニア社員」に行わせようとすること自体全く無茶苦茶な話だ。現に、現在出向に出ている人たちからは「こんな作業では体がもたない」「検修ではなく清掃を希望したい」などの声が出ている状況だ。
 年金受給年齢の引き上げを悪用し、再雇用の問題と保守部門の全面的な外注化をワンセットにした会社側の卑劣な攻撃を絶対に許さず、現状を改めて確認するとともに、検修・構内業務の全面的な委託阻止に向け、職場からの反撃を開始していこう。