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保守三部門の前面外注化は鉄道会社の“死”だ

技術継承の解体が事故,故障の元凶

〜保守三部門の外注化阻止へ その4〜

 完全民営化法の成立(6月15日)をもって具体的に動き出した「ニューフロンティア21」は鉄道会社としてのあり方を根本的に変えてしまい、JRに働く全ての労働者の労働条件を根こそぎ奪い取ろうとする大攻撃であることを繰り返し暴露、断罪してきた。
 攻撃の特徴は「シニア制度」と保守部門の全面外注化を柱に5年間で1万人の人員削減を図る大合理化攻撃である。中でも合理化攻防の渦中となっている設備部門の全面外注化は3千人を削減するとして、2千人は出向、千人が「余力」とされて新たな「人活センター」送りすら狙われている。ちなみに保線、電気部門は殆どが国労職場であり、露骨な国労攻撃である。
 こうした重大攻撃に対し東労組は「効率化推進」を掲げ、早々と屈服、協力の態度をとっている。外注化−「シニア制度」をめぐる攻防は待ったなしの正念場を迎えている。
 特にこの攻撃は、鉄道固有の技術力をそっくり放棄するものであり、それは安全と運転保安を根底から解体するものであり、絶対に許してはならない。
技術継承の放棄は鉄道会社の死を意味する。
 分割・民営化から十数年。JR総連革マル結託体制は鉄道会社の使命である安全、運転保安をことごとく破壊してきた。「安全より営業感覚を持て」という指導方針や組合差別を全てに優先させる異常な経営姿勢、安全輸送や整備された車両の確保に全力を注いできた労働者の誇りすら奪ってきた。
 その結果、今日の深刻な事態を招いていることは、既に暴露してきたとおりである。技術力の継承を完全に解体する「全面外注化」絶対反対の声を聞いた!

これ以上黙過できない。どうすべきなのか!
 東日本会社では今後10年間で3万人の労働者が退職する。全社員の約半数が退職時期を迎えることになる。保守部門はそれ以上にシニア社員の割合が高くなっている。
 当面は定年後のベテラン労働者を車両整備会社に再雇用することで乗り切れるとしても、大量退職の山が抜けた後の業務遂行はどうなるのか。千葉支社においては検修関係では年間数名しか新規・中途採用を合わせても採用しておらず、10年間でも40〜50名にしかならない。
 総額人件費の抑制、組合差別に力を入れ技術者を養成し、技術力を継承していくという努力は放棄されている。運転士の養成、電気、施設といった多岐にわたる技術者の養成とその技術力の継承といった基本的課題をしっかりと再確立させるために要求し、闘おう。

外注化の矛盾・弱点にむけて攻め込もう
 敵の「外注化」攻撃は矛盾と弱点だらけであり、何ひとつ展望もない。我々はそこを徹底的に突きまくり攻め込むことである。
 第一の弱点。会社は「シニア社員の規模を勘案し、逐次実施する」としている。しかしこのことはシニア制度で再雇用された車両整備会社の労働者とJRの社員が職場をめぐって対立し、紛争し団結を崩していくことを前提とした計画−攻撃である。
 従って我々は職場討議、職場活動を通し、自らの団結を固め、他労組の組合員と共同して反撃に立つなら、敵は何ひとつ貫徹できないということ。
 第二に、委託先となる車両整備会社に構内運転や検修全般を担当する労働者を確保できるのかという問題である。東日本が行った、出向者を対象とした「構内運転業務担当者」の希望調査で多くの者が断っている状況ひとつみても、それは明らかである。
 第三に、安全や技術継承の崩壊をはじめ連絡体制や責任体制等々についてどうするかなど会社は説明すら出来ず自らこの全面外注化の不可能性、破産性をさらけ出しているのである。

 我々はこうした矛盾、弱点を徹底的に突きながら職場の総団結を強化し、シニア制度−保守三部門の全面外注化阻止を闘いとろう。