館山運転区・木更津支区廃止
反対闘争の教訓


  動労千葉は、 館山運転区−木更津支区廃止への怒りも新たに、3月17日〜19日の3日間のストを断固として貫徹した。そしてこのストの中で、館山運転区・木更津支区廃止攻撃=組織攻防戦の勝利したことを確認し合った。9ヵ月間にわたる闘いによって、動労千葉の組合員をバラバラに配転し、団結を破壊しようという、JRの最大の狙いを完璧にはね返したのだ。原則を守って闘えば、必ず展望が開けることを示したのだ。

動労千葉への組織破壊攻撃
 昨年7月6日、JR千葉支社は、館山運転区、木更津支区を廃止して木更津運輸区にする、津田沼車掌区も廃止し習志野運輸区に統合するという提案を行ってきた。
 JR千葉支社は、木更津運輸区の新設には何の合理性もないにもかかわらず、ただ動労千葉の組織破壊を一切に優先させて、動労千葉が過半数を占める館山、木更津という拠点職場を廃止するというのだ。この攻撃は全面的な基地統廃合攻撃の本格的な開始を意味している。そして今後、京葉派出を廃止し西船橋に運輸区設置、銚子運転区を廃止して佐倉または成田に運輸区、そして千葉運転区も千葉車掌区と統合し運輸区にするなど、ここ3〜4年で全面的基地再編を行うと公言しているのだ。
  基地廃止という攻撃は、団結の拠点を潰すという攻撃であり、動労千葉の組織と団結をねらい撃ちにする攻撃としてある。長年勤務してきた職場を丸ごと奪われ、仲間がバラバラに配転されるという中で、組合員の間にさまざまな動揺が走る。動労千葉の組合員も例外ではない。

 反撃の開始!
今回の基地統廃合攻撃は、地方ローカル線のさらなる切り捨てと一体であるという意味でも重大な攻撃である。7月6日の提案以降の九ヵ月間の闘いに、その当該である館山支部、木更津支部は直ちに反撃に起ち上がった。
 館山市、南房総市などの内房線沿線の自治体や観光協会、商工会議所などへ反対の要請行動。そして9月24日、画期的な館山地域集会の成功。館山市長、南房総市長、館山観光協会長、館山市議会議員等々、全体で130名が結集し、内房線の切り捨てにつながる館山運転区廃止に地域から大きな反対の声があがり、JRを徹底的に追いつめた。
 また、この地域集会の成功は、動労千葉館山支部の団結強化にとって決定的だった。自らが生活する地域からの全面的支持は、動労千葉の組合員としての自信と誇りをさらに強固にした。

動労千葉を徹底的排除した運輸区新設
 12月千葉支社は、3月ダイ改の概要と労働条件、要員を提案してきた。さらに 線見訓練のためと称して、蘇我運輸区や習志野運輸区から10名の運転士が木更津運輸準備区に送り込んできた。動労千葉を排除したかたちで、一方的に新運輸区設置に向けた準備が進められた。しかも、新設される木更津運輸区は、本線運転士で50名(EC=電車運転士35名、DC=気動車運転士15名)。ECで言えば、廃止されようとしている館山運転区の運転士でいくらでも充当できるのだ。館山運転区の運転士なら線見訓練も必要ない。にも係わらず、開業の3ヵ月も前から、他区から東労組の運転士を送り込むというのだ。館山運転区・木更津支区廃止が動労千葉破壊のために仕組まれたことが全面的に明らかになったのだ。一糸乱れぬ団結と激しい職場闘争の展開
 動労千葉は組織の総力で反撃に起ち上がった。1月16日千葉支社抗議行動に緊急行動にもかかわらず170名が結集した。動労千葉の団結力を凄さを示した。 一方館山支部は、徹底した職場討議を行った。そして運転区廃止に伴う配転先についての当局との面談の場合、「第一希望以外は書かない(木更津運輸区、鴨川運輸区)」ということを全員で確認した。
 木更津運輸区の電車運転士の定数は34名だ。すでに10名が送り込まれている。さらに館山運転区には13名の東労組(11名)と国労(2名)の運転士がいるが、当局は「希望」を書き換えてまで木更津運輸区に配転させようとしている。動労千葉組合員が入る枠を少なくし、「組合の指示に従って第一希望だけだと、どこに飛ばされるかわからない」という館山支部組合員の不安と動揺を創り出そうとした。さらに水面下で「そろそろ支社にあがらないか」と脱退工作が行われた。しかし館山支部の組合員はこのような卑劣な攻撃を跳ね返し、一人の例外もなく組合員全員が組合の指示通り「第一希望」しか書かなかった。一糸乱れぬ団結だ。

不当配転攻撃を完全に粉砕
 そして2月1日から休日勤務拒否の非協力闘争、連日激しい職場闘争を闘いぬき、職場の支配権は完全に動労千葉が握った。2月末の団交では“当局の回答いかんで、翌日から「(事故や故障などでダイヤが乱れた場合でも)所定以外の乗務は全て拒否する」という全面的な非協力闘争、指名ストを通告し徹底抗戦を貫いた。
 こうした動労千葉の力勝負の闘いを前に、居丈高な対応を続けていたJR千葉支社はガラッと態度を変え、「配転については、本人の希望を尊重する」と異例の回答をせざるを得なかった。ある館山支部の組合員は「今回は奇跡だよね」と語った。不当配転攻撃を完全にはね返した。
 一糸乱れぬ団結と、そして現場の激しい職場闘争があったからどんな戦術でも可能となったのだ。そして、より強い動労千葉に生まれ変わったのだ。
た」

 3月18日をもって、館山運転区は幕を降ろすことになった。動労千葉は、「新しい職場の実権は俺(おれ)たちが握る」(佐野木更津支部長)、「二つの拠点職場廃止の最大の狙いが動労千葉の団結破壊にある以上、最強の木更津支部、鴨川支部をつくることがわれわれの回答だ」(田中委員長)と新たな闘いに入った。
さらに重要な決起が3日間ストの渦中で起きた。「スト破りなんか絶対にできない」と多くの東労組の平成採組合員がスト破り拒否を闘った。
9ヵ月間にわたる動労千葉の闘いの教訓
 @職場の団結さえ揺るがなければ、どんな闘いだってやれる。原則を曲げずに闘えば必ず勝利できる。
この九ヶ月間の闘いは不当配転に反対して闘ってきたわけではない。あくまで「基地廃止絶対反対」を最後まで闘った。多くの先輩たちの血を流しながらも守りぬいてきた職場と団結を潰すことなど絶対に認められないからだ。さらに全面的な基地統廃合と地方ローカル線切り捨て攻撃の始まりだからだ。この組合員の怒りに全面的に依拠し、闘いの原則=「絶対反対」を貫いたことが、不当配転をも完全に粉砕したのだ。
  動労千葉労働運動の基本路線は「反合・運転保安闘争路線」である。その核心は「合理化絶対反対」を貫くということだ。「合理化には反対しないから、労働組合の要求もなんとかしてほしい」と裏で話を付けるというのが体制内労働運動である。その結果、労働者はバラバラにされ団結は破壊され、労働組合は無力となってきた。

 この館山運転区・木更津支区廃止攻撃の最中、何の前ぶれもなく、車掌が突然駅に配転されるという前例のない異常な事態が相次いだ。ある日突然「お前は駅」と事前通知が渡され、二度と車掌には戻れない。この背景には分割民営化体制が破綻し、駅の要員事情が完全にパンクしていることがある。「ライフサイクル」と一体の攻撃だ。強制配転は、東労組、鉄産労、国労とお構いなしだ。どんなに会社に忠誠を誓おうが、現場の労働者はまさに将棋の駒のように扱われるのだ。労働組合が腐敗し、資本になめられているのだ。
 しかし動労千葉は、館山運転区-木更津支区廃止攻撃に対し、「絶対反対」を貫き、全員が希望どおりの異動をかちとった。検修外注化も阻止し続けている。9ヵ月間にわたる闘いは、どんなに厳しくとも原則を曲げず団結して闘えば勝利できることを示したのだ。極限的な人員削減で、JRの現場はどこもギリギリで回っている。敵の側こそ危機であり、破綻(はたん)しているのだ。闘うことで初めて、そのことが見えてくる。職場の団結さえ揺るがなければ、どんな闘いだってやれる。原則を曲げずに闘えば必ず勝利できる。そのことを動労千葉の闘いは証明したのだ。


労働組合には社会を根底から変える力がある事を示した
 

 動労千葉の8カ月間にわたる闘いが示したもう一つの大きな教訓は、労働組合が本来持っている力の大きさだ。
この数年間で館山の街からは、東京電力、気象庁測候所、法務局、NTT、JR保線区など、公的な職場がどんどん撤退しているという。莫大(ばくだい)な利益を上げながら、「もうからないから」と内房線を切り捨てるJR東日本への地域の怒りは強い。
 昨年9月24日の地域集会では保守系の市長まで「やはり民営化はまちがいだった」と発言している。格差が急速に拡大し、地方切り捨てが強まる中で、このままでは野垂れ死にするしかない現実があるのだ。数年前までは、動労千葉がストライキを打つたびに観光協会は抗議文を持ってきたという。しかし07春闘ストライキは、地元の圧倒的な支持を受けた。JR当局は孤立をきわめた。時代が根底から変わってきているのだ。
 腐りきった労働組合の存在によって、こうした怒りの声が分散させられ破壊されている。
 しかし本物の労働組合が中軸に座ったとき、わき上がる怒りを解き放ち、一つにつなげ、社会を根底から変えることはまったく可能だ。 動労千葉の闘いは、こうした労働組合が本来もっている力の大きさをまざまざと示した。

闘争経過


7月6日、
 7月6日の千葉支社の提案は館山運転区、木更津支区を廃止して木更津運輸区にする。津田沼車掌区も廃止し習志野運輸区に統合するというものだ。そして今後、京葉派出を廃止し西船橋に運輸区設置、銚子運転区を廃止して佐倉または成田に運輸区、そして千葉運転区も千葉車掌区と統合し運輸区にするなど、ここ3〜4年で全面的基地再編を行うと公言している。

7月20日
館山運転区、木更津支区廃止絶対反対!幕張構内事故への不当処分粉砕!
7・20総決起集会を開催

8月9日〜11日
館山運転区−木更津支区廃止反対に向けた総行動は、8月9日〜11日にかけて、館山支部を中心にして展開され、内房線沿線の館山市、南房総市、鋸南町、富津市の市長や商工会、観光協会、教育委員会等に対する要請行動として行われた。要請先は、35箇所に及び、全ての箇所で「JRから何の説明もない」「初めて聞いた」「地域の切り捨ては認められない」「JRにはさんざん要求しているが全く聞かない」等々、JRへの怒りが地域に溢れていることが今回の要請行動ではっきりした。

8月31日
動労千葉は、8月31日、館山市議会に対して、「館山運転区の廃止・移転計画の反対決議の採択に関する請願書」を館山商工会議所、館山市観光協会、旅館組合と動労千葉館山支部が連名で提出した。

9月6日
9月6日、JR千葉支社において、動労千葉申31号及び37号に基づき館山運転区ー木更津支区廃止に関する団体交渉が行われた。
千葉支社回答(要旨)
 将来の点で言えば、少子高齢化が進み、乗客が増えることはない。仮に列車を増やした場合、会社への負担が多くなり、かなりの経費を使うことになる。今も70キロ圏を境に顕著に差が出ている。内房線は、原価計算で言ったら赤字だ。
 館山道が全線開通するれば、自動車に乗客を取られ今以上に少なくなることは明らかだ。

9月24日
9月24日、14時から、館山商工会議所大会議室において、「地域の足を守れ!館山運転区廃止−内房線の切り捨てに反対する館山地域集会」が開催された。
 集会には、館山支部の組合員や家族、OB、安房地区労福協の仲間や国労保線区の仲間、さらに辻田館山市長、石井南房総市長、館山観光協会長、館山市議会議員等々、全体で130名が結集し、内房線の切り捨てにつながる館山運転区廃止に地域から大きな反対の声があがった。

9月27日
9月27日、JR千葉支社は、原田支社長名で、9。24集会での発言について「営利のみを優先して、地域の足を切り捨てるとの印象を与え、ことさら安全より労務管理が優先であるとの大きな誤解を与える内容」「集会等での発言は、お客様の信頼をいたずらに損ね、当社の信頼を失墜させる意図を伺わせる行為」「撤回」せよなどと申し入れを行ってきた。
 館山市長をはじめ責任ある立場の者が正式に発言したことを撤回しとなどとはとんでもないことだ。しかも、集会を行い、そこで発言することは自由であるにもかかわらず、それに介入すること自体集会の自由を否定する以外の何ものでもない。絶対に許すことはできない。


9月29日
9月29日、館山支部組合員が傍聴して見守る中、「館山運転区の廃止・移転計画の反対決議の採択に関する請願書」が本会議において賛成20名、反対1名の圧倒多数で議決された。地域において正式に反対の議決がされたということは、この間の館山支部を先頭にした闘いの大きな成果だ

10月1日〜2日
第35回定期大会が10月1日〜2日の日程で、DC会館において開催された。館山運転区、木更津支区廃止を阻止するための闘う方針を決定。

11月1日に木更津駅講習室に木更津運輸区準備区を設置

11月25日
b木更津支部第29回定期大会が、11月25日、木更津市・「たく」において開催され、第二の分割・民営化攻撃の新段階とも言うべき、来年三月のダイ改での木更津支区廃止、館山運転区廃止ー木更津運輸区新設攻撃との対決に向け、組織の総力をあげて闘いぬくことが満場一致確認された。


11月30日
館山支部は11月30日、安房教育会館において第29回定期大会を開催した。
 今回の大会は、来年3月の館山運転区廃止攻撃を組織攻防戦として見すえ団結をうち固め、闘いの先頭に立つ重要な大会であり、支部の歴史をかけた決戦でもある。それは組合員一人ひとりの目つきにもあらわれ、集中した討議が行われた。

12月16日
12月16日、14時から、館山駅前の「福岡」において、館山運転区−木更津支区廃止絶対反対の闘いを貫くために、館山・木更津両支部の交流集会が開催された。
 交流集会には、館山、木更津の両支部組合員を先頭に、本部、各支部代表も含めて40名が参加する中で、活気溢れる交流集会となった。

12月22日
千葉支社、3月ダイ改の概要と労働条件を提案
「木更津運輸区」=運転士52名、車掌50名の要員体制
館山運転区の行路約1500キロを蘇我運輸区等に移管

12月25日
蘇我運輸区から4名の運転士を「木更津運輸準備区」に25日付で異動

07年1月16日
1月16日、動労千葉は「館山運転区・木更津支区廃止絶対反対!勝浦市議選勝利!総決起集会」と千葉支社抗議行動を行った。
DC会館で行った総決起集会には組合員と支援する会の仲間170名が結集して熱気あふれる集会としてかちとられた。その後千葉支社前に移動し、怒りのシュプレヒコールを叩きつけた。

1月22日
千葉支社は、昨年12月25日付で4名を蘇我運輸区から、そして1月22日付で習志野運輸区から6名の運転士を木更津運輸準備区に送り込んだ。これで合計10名の運転士が準備区に送り込まれたことになる。
 木更津運輸区の電車運転士の要員は35名と発表されている。そのうちの10名がすで送り込まれ、館山運転区の平成採の状況を考えると半数以上を東労組で占めることを考えていると見られる。
1月25日
1月25日、JR千葉支社において、3月ダイ改における館山運転区ー木更津支区廃止、「木更津運輸区」新設及びダイ改における諸施策に関する団体交渉が行われた。
この日の団交ではっきりしたことは、10名の運転士送り込みを完全に開き直り、館山や木更津に所属する者は一切無視するという絶対に許せない対応を行っているということだ。

2月1日 「ちばディスティネーションキャンペーン」始まる
2月1日、動労千葉と支援する会の仲間20名で、千葉駅前での街宣を行った。「内房線の切り捨ては困る」と声をかける人がいるなど、大きな反響が返ってきた

2月4日
2月4日、11時、館山駅前には、全支部から結集した動労千葉組合員及びと動労千葉を支援する会の仲間たちなど、総勢80名が結集し、館山運転区−木更津支区廃止攻撃に対する抗議の街宣・ビラまきと、館山運転区前での緊急抗議集会が行われた。

2月27日
2月27日、千葉支社において、「木更津運輸区」新設問題に関する動労千葉申14号、17号に基づき団体交渉が行われた。
 この日の団交には、不当配転阻止に向けて全支部から50名が駆け、館山、木更津両支部を中心にした団交出席者はこの熱意を受けて団交に臨んだ。また、各支部から結集した組合員による千葉駅街宣行動や、団交後の報告集会が行われ
「館山運転区廃止に伴う異動については、希望を尊重する」 −千葉支社回答−
今回、千葉支社が、「面談の希望を尊重する」と回答したことはこれまでにない大きな成果だ。

3月4日
 07春闘勝利、館山運転区−木更津支区廃止反対!1047名闘争勝利!「日の丸・君が代」強制反対!改憲−労働基本権解体攻撃粉砕!3・4春闘総決起集会が、闘う労働者400名が結集し、デモの貫徹を含めて大成功を勝ちとった。