東京高裁難波裁判長 結審弾劾!
1047名解雇撤回!


国鉄分割・民営化26年
今こそ国鉄闘争の火を大きく

暴かれた「国鉄改革」の真実

動労千葉委員長 田中康宏

 国鉄分割・民営化(1987年)は、国鉄労働者20万人の首切りと、労働運動の壊滅を狙う国家的大陰謀でした。26年間におよぶわれわれの闘いは、それが誰の手によっていかに遂行されたのか、ついにその真実を暴き出しました。
 一方、重大な反動が起きています。「(JR採用差別は)分割・民営化に反対する労働組合に属する職員を不当に差別する目的、動機の下に行なわれた」と認定する判決を書いた東京地裁民事11部・白石裁判長が、突如、東京地裁労働部から異常なやり方で更迭・左遷され、それを受けて、現在事件が係属されている東京高裁・難波法廷は5月8日、一切の証人申請を却下し、何も調べないまま結審を強行したのです。これは国鉄闘争を最後的になきものにしようとするあせりにかられた攻撃です。判決日は9月25日。闘いはいま最大の正念場を迎えています。

国鉄方式と闘う

 「一旦全員解雇・選別再雇用」。国鉄分割・民営化が労働者にもたらしたのはまさに暴力的な首切り攻撃でした。
 しかもそれは「JRと国鉄はまったく別法人でJRには採用の自由がある」「JRは国鉄が作った採用候補者名簿を全員採用した。なんの差別もしていない」とされたのです。以降、まったく同じ欺瞞とペテンのもとに、「国鉄方式」と呼ばれる民営化・規制緩和攻撃、問答無用の解雇や権利破壊が社会に蔓延し、労働運動は際限なき後退を強いられ、膨大な労働者が非正規雇用に突き落とされました。
 当時、首相であった中曽根は、国鉄分割・民営化の狙いを「国労をつぶし、総評・社会党をつぶすことを明確に意識してやった」「お座敷をきれいにして、立派な憲法を床の間に安置することを目的としてやった」と、露骨に語っています。
 しかし、闘いはついに核心に迫ろうとしています。国鉄1047名採用差別事件が、当時の中曽根内閣、旧国鉄幹部、JR設立委員会、司法権力(最高裁)が一体となって仕組んだ大陰謀=国家的不当労働行為であったことを一点の曇りもなく明らかにしたのです(2面参照)。その真実が暴かれれば、以降、すべてての労働者を襲った「国鉄方式」による攻撃が不当なものであったことが証明されます。
 さらには、大阪の橋下市長らによって、今まさに強行されようとしている公営事業の丸ごと民営化攻撃もその根拠を失い、崩れます。ここをひっくり返せれば、民営化・外注化、非正規職化攻撃そのものの息の根を止められます。闘いは正念場です。

安倍政権の正体

 安倍政権がもたらそうとしているのは全面的な賃金・雇用破壊、民営化、改憲と戦争です。公務員労働者に激しい攻撃を加えることをもって、すべての労働者を非正規職に突き落とそうというのです。
 しかし、あまりに強引な攻撃は支配の危機の表れです。アベノミクスは早くも全面的に崩壊しはじめました。96条改憲攻撃も、異様な国家主義への突進や軍事外交政策も、すべてがグラグラです。ひたすら労働者を犠牲にするしか支配の手段がないほど、危機は深まっている。こんな社会のあり方は間違っていると誰もが気がつき始めている。あらゆる問題が限度と限界をこえ、労働者の意識と価値観に巨大な変化が起きようとしている。歴史的な転換点が訪れています。
 国鉄闘争をめぐっていま火花を散らしているのは、階級的労働運動の復権にかけたこの間の努力が、怒りの声と結びついてこの時代に登場することができるか否かの攻防戦です。
 時代は可能性に満ちはじめている。すべては国鉄分割・民営化から始まった。われわれはここに決着をつける。1047名解雇撤回・外注化阻止! 全力を尽くして新たな闘いに立ち上がります。国鉄闘争へのさらなるご支援をお願いいたします。

 

国鉄とJRが共謀した不当労働行為

動労千葉顧問弁護団長 葉山岳夫

 2010年の4・9政治和解を弾劾し「解雇撤回・原職復帰」の原則を守って一貫した闘争を展開してきた中で昨年の6・29判決が出てきました。
 葛西(職員局次長・現JR東海会長)は調べなかったが、伊藤嘉道の証言を引き出し、この証言の中で、具体的に1987年に改革労協から鉄道労連に移行する結成大会で特別決議まであげて「定員割れで全員が入ることには絶対反対だ。採用で差別しろ」とわめいて、それに葛西らが呼応して不採用基準をつくったことを明らかにしました。

 いったん名簿に記載されたものを削除することの不当労働行為性について、白石裁判長自身としてはギリギリの決断として、不当労働行為を認定せざるをえなかった。

 国労秋田闘争団の小玉さんをめぐる裁判で東京高裁・設樂裁判長は、この白石判決をひっくり返そうとして反動判決を出してきた。司法総体が階級的に対抗してきている。

 控訴審の難波法廷も今までの対応とは違ってきている。労働運動全体の中で国鉄闘争のもつ意味が非常に大きくなってきています。裁判闘争が階級闘争の大きな焦点となってきています。徹底的な大衆闘争が要請されている状況だと思います。
 葛西証人を調べろという要求と関連して、『国鉄改革前後の労務政策の内幕』を証拠として提出した。従前の建前そのものが吹っ飛ぶようなことが暴露されている。井手・国鉄総裁室長(元JR西日本社長)と葛西が、経団連会長でありJR設立委員会の委員長だった斎藤英四郎のところに出向いて「処分を繰り返すような職員が中に入られたら困るから不採用基準をつくってくれ」と説得した。斎藤はこれに対し「国鉄側で作ってくれ。葛西君、つくりたまえ」という形で葛西が不採用基準を作った。

 つまりJR設立委員会が名簿作成にかかわり、しかも指示をして作らせている。不採用基準策定の不当労働行為は設立委員会自身が国鉄と共謀してやったことであり、それはストレートにJRの責任になる。
国鉄と設立委員会すなわちJRが共謀して行った不当労働行為で名簿から削除したのであれば、原状回復でJRの職員にしなければならないことがますます明確になってきました。

 それを暴露された状況の中で、難波裁判長は結審を強行した。
 国鉄闘争全国運動の意義は非常に大きくなってきている。9月25日の判決を前に署名も1万7千名近く集まったことは大変な意義がある。この運動をさらに拡大する必要があります。