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「正社員ゼロ━解雇自由」社会を許すな @

6.5集会に大結集を

「働き方改革」

 「働き方改革は安倍内閣の次の3年間の最大のチャレンジだ」。安倍は、2月末に開かれた『一億総活躍社会実現対話』でそう語り、その後、「同一労働同一賃金の実現」「非正規社員と正社員の賃金格差を是正する」「最低賃金を平均千円をめざす」等を掲げた「一億総活躍プラン」が発表された。だが、現実に進められ、実行に移されようとしている「働き方改革」の真実は、耳ざわりのいいイメージとは全く違う、真逆のものだ。かつてヒトラーは、アウシュビッツ強制収容所の門に「自由への道」という標語を掲げたが、安倍がやっているのはこれと全く同じ手法だ。

正社員ゼロ、解雇自由

 マスコミは「実効性が問われている」「選挙向けの看板政策だ」と批判しているが、そんなレベルの問題ではない。飾りたてられた宣伝の背後で猛毒が放たれ、労働者の雇用と権利が根こそぎひっくり返されようとしている。その正体は、「正社員ゼロ、解雇自由」社会を生み出すために、労働基準法、労働組合法、労働基本権を解体し、労働組合の根絶を狙う攻撃だ。それはまた、雇用のみならず、社会保障制度、医療制度、教育などすべての公共サービス部門を競争原理の中に突き落として破壊する攻撃である。

幾重にも設置された会議

 第二次安倍政権が成立したのは2012年12月26日であったが、首相に就任するやいなや、「民間活力の爆発がキーワード」「そのために阻害要因を徹底的に除去する」と宣言して、これまでの雇用・労働政策の原理的転換を迫る攻撃を開始した。
 そのために、年明けを待たずに、経済財政諮問会議、日本経済再生本部、産業競争力会議、規制改革会議等、何層にも重なる会議・会合を設置することが決定された。そこに竹中平蔵など、安倍をとりまく最悪の新自由主義者や国家主義者が集められ、本来なら何の権限もないはずの連中がすべてを決定し、命令していく枠組みが確立されたのである。

もう一つの改憲攻撃

 司令塔の役割を果たし、政策決定のプロセスを動かしたのは事務局に集められた経産省官僚であった。雇用労働政策を審議し決定するというのに、厚労省は外され、必要に応じてヒアリングに呼ばれて命令され、追認するだけの存在に貶められた。それはある種の反動的クーデターであった。
 厚労省は、「雇用ルールは、条約上、労使間で協議することが求められており、労政審での審議を経ることが必須」と「抵抗」したが一蹴された。こうやって様々な提言や報告書が作成され、閣議決定され、法制化されていったのである。それは、改憲・戦争への突進と一対をなす「もう一つの改憲攻撃」だ。

国鉄分割・民営化以来の攻撃

 とくに、雇用問題を最優先課題として取り扱った規制改革会議では、その冒頭から、「この2年程度で、これまでの規制改革に決着をつける意気込みで取り組む。そのためにはロケットスタートが大事」「『何を』やるかよりも『いかに』進めるかが問題だ」(大田議長代理)といった挑戦的な意志統一の下に審議が進められた。こうして、国鉄分割・民営化以来の社会の大転換を狙う攻撃が開始されたのである。

労働者の権利が危機に瀕している

 それから3年。労働法―労働者の雇用と権利は、今まさに危機に瀕している。 「私はこれまで何度か『労働法の危機』の語を用いたことがあるが、今日ほど文字どおりの『危機』を実感させる時代はない」(西谷敏・大阪市大名誉教授)「雇用をめぐる立法政策や法解釈を通じて形成された雇用政策や解釈の基盤を、根底から掘り崩してしまおうとする、歴史的転換とさえいいうる」(野田進・九州大学名誉教授)「日本の労働法は、多くの労働者にとって『氷点下』の凍結状態に陥ってしまい、労働と生活は危機的状況に直面している」(脇田滋・龍谷大学教授)。
多くの労働法学者が警鐘を乱打している。だが、最大の問題は、これほど重大な事態が進行しているというのに、労働組合の反撃が全くと言っていいほどないことだ。現場の労働者には、何が起きようとしているのかすら知らされていない。労働運動のこの現状にこそ本当の危機がある。(つづく)

国鉄闘争全国運動6・5全国集会
 6月5日(日)13時〜 
 江戸川区総合文化センター大ホール

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
 
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