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偽装請負で、厚労相に申告を行う!

 8月19日、動労千葉は、京葉車両センターの構内業務の委託が「偽装請負」に当たることから、、JR千葉支社及び千葉鉄道サービスを違反者として厚生労働大臣に「偽装請負の申告」を行った。
 本来「請負業務」は、「労働省告示37号」により、@指示その他の管理を自ら行うこと及び、A請け負った業務を自己の業務として契約相手から独立して行うことが求められている。さらに、@自己の責任と負担で調達した機械等で業務を処理すること、又は、A自己の有する専門的技術や経験に基づいて業務を行うこととされている。
 しかし、業務委託を受ける千葉鉄道サービスは、構内入換業務を行った経験や技術力は全くない。そのため、構内運転士の定例訓練等を行うための「教育訓練契約書」をJR千葉支社との間で締結している。これは、構内業務を請け負う技術力がないこと認めているということだ。
 さらに構内業務は、JRからの指示・通告なしに列車を1本も動かすことはできない。通告は単なる一般的な業務指示ではない。この間の団交でも千葉支社は、「通告は、指揮・命令である」と明確に回答している。そうである以上、信号所を含めてJRから請負業者の作業員に直接「通告」を行うことは業務上の指揮・命令を行うということだ。しかも、この構造は、業務委託された後も変わることはなく、JRが通告を続ける以外ないのだ。
 以上のように、構内入換業務は、明白な偽装請負だ。 偽装請負を徹底的に追及し、業務外注化を阻止しよう!8・30大集会に総結集しよう!

偽装請負に関する申告書

2011年8月19日 

厚生労働大臣 細 川 律 夫 殿

申告者(2名 略)                 

違反者 千葉市中央区新千葉1−3−24 
東日本旅客鉄道株式会社     
千葉支社長 椿       浩    

違反者 千葉市中央区弁天5−2−1   
白樺ビル10階           
JR千葉鉄道サービス株式会社 
代表取締役社長 後 藤 慎 悟  

 東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という)が、2001年以降実施している構内入換業務の委託、今回10月1日より実施されようとしているJR東日本千葉支社(以下「JR千葉支社」という)京葉車両センターにおける構内入換業務の委託は、明らかに偽装請負に該当する違法行為であるので是正の措置をとられたい。

1.申告者と違反の関係(略)
2.申告者の職責・業務(略)
3.JR東日本における業務委託の拡大と、JR千葉支社における構内入換業務の委託
(1)JR東日本は、2001年以降、大規模な業務委託(外注化)を進めている。それは、車両検査・修繕業務、構内入換業務、線路信号通信・電力系統の検査・保守業務、土木・建築業務、駅業務、車掌業務等あらゆる系統に及び、鉄道の安全確保にとっても深刻な影響を与えかねないものである。

(2)こうした状況下で、JR千葉支社では、現場労働者の抵抗もあり業務委託はほとんど進まないまま推移していた。しかし、JR千葉支社は昨年夏以降、業務委託に関する契約書を請負会社と締結し、業務委託の体制を整えるために幹部社員を請負会社に出向で送り込むなど、業務委託に向けた準備を進め、この6月10日には、現在、京葉車両センターで行なわれている構内入換業務(1徹4日勤)の内、2日勤分の業務を10月1日以降委託するとの提案を行い、現在委託・外注化に向けた具体的準備が進められている。

(3)今回の申告に係わる構内入換業務は、車両検査・修繕業務と一体で委託化が進められてきたもので、委託先(請負業者)はJR千葉支社の場合、千葉鉄道サービスとなる。
 構内入換業務とは、車両収容基地内で頻繁に発生する入換運転やそのための誘導、基地を出てから始発駅までの運転(出区)やそのための点検、終着駅から基地に収容するまでの運転(入区)等の業務を言う。

4.違反事実
  「昭和61年労働省告示第37号」(以下「告示」という)は、「請負の形式による契約による業務」について、「業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行なうものであること」、「請け負った業務を自己の業務として当該契約相手から独立して処理するものであること」を求め、さらに、「自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材又は材料若しくは資材により、業務を処理すること」、「自ら行なう企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること」のいずれかに該当することを求めているが、今次、構内入換業務の委託は、次のとおりそのいずれにも該当せず、違法である。

(1)構内運転業務の処理に必要な設備、器材等は全てJR東日本が所有しており、業  務が委託された場合、千葉鉄道サービスは、簡易なものを除けばほぼ全てJR東日  本の設備、器材等を使用して業務を処理することになる。

(2)千葉鉄道サービスが行なっている業務は、列車の車内や車両外板清掃と補助的な車両整備業務(車両のトイレからの汚物の抜き取りや碍子磨き等)、駅等の清掃業務だけであり、これまで構内入換業務を行なった経験は全くない。従って「自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること」などできないのは言うまでもない。

(3)構内運転を行なうには、甲種電気車免許ないし「限定免許」(運転できる範囲が構内及び入出区のみに限定された資格)が必要であるが、千葉鉄道サービスは、そうした資格を取得するための訓練や教育を行ない養成する企業体としての能力、施設、経験、人材を全く有していない。
 そのため、構内入換業務が委託された場合、業務に就くのは全員JR東日本からの出向者である。請負が適正なものであるためには「単に肉体的な労働力を提供するもの」であってはならないというのが告示の趣旨のはずだが、請負会社が専門的な技術力や経験を持っていないために、肉体的な労働力を提供することすらできず、発注会社の労働者が出向して業務を処理するというのは甚だしく本末転倒した姿に他ならない。

(4)さらに言えば、JR千葉支社は、昨年夏、京葉車両センターでの構内入換業務外注化の準備を整えさせるために、業務を請け負うことになる千葉鉄道サービス京葉事業所長のポストに幹部社員を出向で送り込んでいる。「法の規定に違反することを故意に免れるために故意に偽装されたもの」と言わざるを得ない。

(5)構内運転士は、国土交通省令により年間12時間の教育・訓練(定例訓練)が義務づけられているが、JR千葉支社と千葉鉄道サービスは、「教育訓練契約書」を締結して、JR東日本が請負会社に出向させた社員の教育訓練を肩代わりしようとしている。
 これは、「請負事業において、発注者は、(告示の要件を逸脱して)労働者に対して技術指導を行なう事はできません」とし、発注者が、請負会社の労働者に直接技術指導できるのは、@請負会社が発注者から借り受けた新たな設備を初めて使用する場合、A新製品の製造着手時、B安全衛生上緊急に対処する必要のある場合に限定した厚生労働省・都道府県労働局の指導(「労働者派遣・請負を適正に行なうために」)に明らかに違反するものである。

(6)構内入換業務は、列車運行計画や検査計画に規定されて発生するものであり、それらは言うまでもなくJR東日本が決定権をもち、管理している。また、構内から本線にまたがって複雑なダイヤが組まれている鉄道では、業務遂行の指揮命令系統は厳格に一元化されていなければ、安定輸送や安全を確保することができないことは論を待たない。各車両基地における入換計画・入出区計画は、列車運行を管理しているJR東日本が作成する以外にないものであり、「請け負った業務を自己の業務として当該契約相手から独立して処理する」ことなど不可能である。この点については、「グループ会社と一体となった業務体制の構築(運輸車両関係)に関する協定及び議事録確認解説」(以下「労使協定等」という)でも、「作業ダイヤはJRが作成し、勤務指定についてのみ整備会社(請負会社)が行う」(47頁)と確認されているとおりである。

(7)しかも、構内入換業務の場合、各日の作業ダイヤを作業責任者を通して概括的に指示するだけでは済まず、個々の入換業務のルート構成、作業開始等すべてがJRからの直接的な指示なしには遂行できない。
 各車両基地での実際の作業の流れは概略次のとおりとなる。
@ 「入換作業計画表」(日報)の形で、その日の業務が指示される。これは定期・臨時を含むその日の構内入換作業の割振り、作業順序等を記した作業指示書で、その職場の計画担当(JR東日本所属)が作成し、指示する。なお、今回の京葉車両センターでの業務委託計画のように、その職場の構内入換業務の一部だけが委託される場合でも、区分けして作成されることはない。それは当然のことで、それぞれの担当者が行なう入換作業が独立して存在しているわけではなく、日常的に発生する列車の運転時刻の乱れ等によって、入換業務の発生時間も、どの入換業務を誰が担当するかも、どんどん変更されていく性格をもつからである。その意味でも「独立して処理する」ことなど   不可能なものである。
A さらに、実際の入換作業にあたっては、1)担当運転士が入換作業を開始できる準備が整ったことを信号所に連絡し、ポイントの開通を要請する、2)信号所はその連絡を受けてルートの安全を確認し、ポイントを開通。入換作業の開始とルートを通告する、3)担当運転士はそれを復唱し、4)その復唱に間違いがないことが確認されてはじめて入換作業を開始することができる。
 なお、鉄道業務において、「通告」は一般的な業務指示よりもより厳格な意味をもつもので、JR東日本も「指揮・命令」にあたることを明言している。ちなみに、本線運転の場合は、書面で行なうことを基本とし、無線通告する場合は運転士側が通告内容、指令番号、通告者氏名等を「運転通告受領券」に記入した上で復唱して確認しなければならないこと、解除通告を受けるまではその通告が有効であること等が規程で定められている。

(8)このように構内業務の委託は、「業務の遂行に関する指示その他管理を自ら行なうものであること」とした告示第2条の定めに違反するものである。
 しかも、この点については、業務委託に関する労使協定等でも、「乗務中の指令指示や出場後の着発線変更等の運転取扱いに係わる指示・連絡については、JRが直接作業員に行う」(37頁)とされており、それ自体が偽装請負を自認するものに他ならない。

5.以上のとおり、JR東日本が2001年以降進められてきた構内入換業務外注化、現在実施に向けて 準備が進められている同千葉支社京葉車両センターにおける構内入換業務の委託・外注化は、「法の規 定に違反することを免れるために故意に偽装されたもの」であることは明らかなので、早急に是正措置 をとられたい。

−以   上− 

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