DC通信No.199

2014/5/14

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解雇撤回10万筆署名を達成して6・8を国鉄闘争の新たな出発点に

 5月7日、国鉄闘争全国運動の呼びかけ人会議を開催しました。この号外は、呼びかけ 人会議の議論をもとに参加者の発言を事務局の責任で編集したものです。また、4月19日に開催された尼崎闘争での関西生コン支部、港合同の発言の抜粋も掲載しました。6・8全国集会の成功に向けた討議のためにご活用下さい。

国鉄分割・民営化に反対し 1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動事務局
 

6・8を国鉄闘争の新たな出発点に
田中康宏(動労千葉委員長)

 1047名解雇撤回を闘う国鉄闘争全国運動の力を結集して到達した地平は大きい。一昨年の東京地裁6・29判決、昨年の東京高裁9・25判決で不採用基準そのものが不当労働行為だと認めさせるところまできた。国鉄改革法を覆すことに手がかかっている。
 しかし、到達地平が大きければ大きいほど中途半端にしたら労働者の信頼を失うことになりかねない。解雇撤回へ最後まで全力を尽くしたい。
 どんな判決になったとしても国鉄分割・民営化の過程とそれ以降に起きたことを曖あいまい昧にしてはいけない。本当に社会的な影響力をもった運動として全国運動や動労千葉の闘いがもう一歩前に行けるかどうか。6・8集会はそういう分岐点になる。
 国鉄改革法に立ちむかうことはできたと感じている。当時は立ちむかえないという雰囲気が全体に蔓まんえん延した。だけどその後、政府は国労に対して「大会で国鉄改革法を承認しろ」「JRに法的責任なしを機関決定しろ」と何度も迫った。政府の側も通用する自信がなかった。 しかし、労働組合がこの問題を真正面から据えられなかった。それで、新自由主義的な労働政策が暴力的に貫徹され、ここまで労働組合が後退した。
 1047名が解雇撤回闘争を継続したことの持つ大きな意味を活かすことができなかった。国鉄分割・民営化という攻撃をくぐり抜け、1047名が解雇撤回闘争を継続したことが日本労働運動にとってどれほど大きかったか。今も1047名闘争が継続されていたら、どれほど大きな役割を果たしたか。
 現在、国鉄分割・民営化体制は崩壊している。新自由主義攻撃のもっとも象徴的な攻撃でした。ここにあらわれていることは社会全体で現実に起きていることの象徴です。

 外注化阻止の闘い 

JR東日本は、本体には管理部門以外もたないところまで外注化を進めようとしています。動労千葉が先頭に立って車両の検査・修繕部門で外注化と闘っていることが全体に歯止めをかけている。
 他の部門では外注化が決定的にエスカレートしている。東京では駅業務の本格的外注化のために新しい下請会社をつくった。発足後1年で、生涯で3回しか定期昇給がない就業規則が提案された。まさに9割非正規化、安倍政権のモデルをJRが提唱している。 しかし事態は変わりつつある。それを象徴的に示したのが、去年12月の韓国鉄道労組の23日間のストライキ。世論の7割を民営化反対に組織した驚くべき事件になった。20数年間、そうした政策がもたらしたものを誰もが全部見ていた。そこに労働運動が力をもって登場したときに世論全体が反対になった。
 セウォル号沈没事故で起きたことはJR北海道とは寸分違わない。明らかに支配の崩壊が始まっている。だからこそ、なおさらここで国鉄闘争の旗を絶対に降ろしちゃいけない。
 5月2日の動労千葉のストライキは、下請け労働者を犠牲にするなということを真正面から掲げました。労働者が団結すれば新自由主義攻撃は打ち砕けると示し続けたい。解雇撤回闘争と二つの柱で、国鉄分割・民営化反対闘争としてこれからも貫いていきたい。

 新たな運動体に

 形の上では和解してしまった闘争団の仲間たちも、まだ数は少ないけれどもこの運動にかかわり始めている。その背後にはもっと多くの仲間がいる。さらに鈴コンの勝利など、新しい展望も生まれてきている。動き始めている。これをつかみたい。
 10万人署名運動を高裁、最高裁と継続して行う中、各地域や労組で本当に我がことのように進める仲間が生まれています。それを本当につなげて一つの力にして進めば可能性はある。
 6・8集会の場で、最高裁判決の前にこの旗の下に結集してもらいたいとあらためて訴える文書を出したい。このかん署名を先頭になって集めてくれた仲間に呼びかけ人に入ってもらい、全国運動を組織だって運動が展開できる運動体に発展させたい。6・8集会を新しい国鉄闘争の出発点にしたい。

国鉄改革法23条そのものが違憲
葉山岳夫(動労千葉弁護団長)

 上告理由書、上告受理申立書を1月27日に提出しました。相手の方は昨年11月に提出してましたが、とんでもない内容です。6月末日までに反論を提出する準備をしています。 2審の難波判決は、不当労働行為があろうと不採用となった場合はすべて清算事業団に行くんだと釘を刺した。「それが国鉄改革法に基づく基本的な立場だ。国鉄が名簿を作り、設立委員会が採用し、両社はまったく無関係」と。その国鉄改革法23条そのものが違憲ではないのか。そのことをこちらの上告理由書で全面的に展開した。 
(採用名簿のための)職員管理調書で分割・民営化に協力するかを評価の基準にすえ、労働処分も明記した。国鉄の労働者に対して採用・不採用をちらつかせて不当労働行為を行った。不当労働行為やり放題が23条の規定ではないか。
 難波判決が主張した〈原則は清算事業団行きで、特別に新会社に採用する〉という論法自体が実態を無視している。完全な別会社なら、労働基準法で採用時に労働処分歴などの通信は禁止されている。
 また、採用基準や労働条件の団体交渉について設立委員会は「その段階ではない。国鉄は名簿を作るだけだから、労働条件などについて団体交渉できない」と主張していた。団交権を否定する改革法は違憲だ。
 井手は対談の中で、齋藤英四郎設立委員長と井手、葛西が合議の上で名簿不記載基準を策定したと言っている。不当労働行為は明らかに設立委員会がやったこと。当然に承継会社に効果が及ぶ。不当労働行為であればその行為は無効で原状回復、解雇撤回・JR復帰が原則です。

体制変革を意識的に追求する時
鎌倉孝夫 (経済学者・埼玉大学名誉教授)

 JRの安全や経営破綻の情勢は、具体的に表われた新自由主義の破綻んです。5月2日の動労千葉のCTSストライキは非常に重要ではないか。6・8集会を新たな闘争の出発点にする。非常に重要な闘いになると思いました。
 現代の情勢の特徴点は、新自由主義の崩壊が日本だけではなく全世界的に表われている。 外注化などで徹底的に労働分野の規制緩和が行われた。人間が人間として働いて生きる場に資本の自由が浸透したら崩壊する。だから規制をかけていた。その規制を「岩盤規制」だとして徹底的になくそうするところまできた。
 株価を高くすることで景気をよくする「擬制資本」は、資本の行き着く姿。資本の利潤追求を徹底して拡大すれば、労働者を本当に虫けらのように使う体制を作らなくてはならない。
 労働者を人間して認めない、モノ・部品にする。事態はそこまで来ていて、それが具体的にさまざまな点で表われている。本格的な労働運動を確立しなければならない重要な時。
 この体制の中では労働者は人間として生きられなくなっている。この認識が重要。体制の限界が来ている。体制変革を目的意識的に追求していく次元になった。

闘いを広げる新たな声明を
芹澤壽良(高知短期大学名誉教授)

 今年に入ってから皆さんの会議に参加し、皆さん方の闘いの重要性、貴重さを実感してきました。今日も皆さん方のそれぞれの地域や地方で全国的に闘っておられる状況を具体的にお聞きする中で、今後の闘いに可能な限り協力していきたいと思っています。
 とりわけ職場・地域でいろんな困難の中で取り組んでおられる。その報告の中にいろんな変化が進んでいることを実感できました。その中で、6月8日の大集会を成功させよう、とりわけ新たな決意表明を提起しようということには大賛成です。
 やはり20数年にわたって闘い続けてきた事実をもっともっと広げていくことです。そういう状況を理解していただけるのは、実際いろんな攻撃と闘っている人の中に表われていると実感できました。そこを中心に、職場を中心とした地域の状況を変えることが大事だと思います。ぜひ、心を動かす立派な声明を作っていただきたい。

JRの犯罪を暴いている
中村吉政(港合同委員長)

 尼崎事故から何年もたつのに事故が頻ひんぱつ発している。鉄道事業者としてのモラルが問われることが頻発している。JRの犯罪的行為だ。
 しかし、皆さんの闘いでこれらが浮き彫りになった。労組を分断し、国鉄がJRに移行した。JRは労働者を労働者と思わず、利益だけを求めている。それが分割・民営化。間違いだ。
 大阪では橋下市長が大変な権利侵害を行っている。地下鉄・バスを民営化させると息巻いたが、労働者の闘いで当初の構想は挫折した。安倍政権は戦後われわれが守ってきた憲法を力ずくで奪い去ろうとしている。これは戦争への一歩だ。港合同メーデーのスローガンは解釈改憲・貧困にノー、戦争をする国づくり許すな。戦争をやめさせる責任が私たちにある。
 日々の職場での奮闘がいまの状態を守っている。それを誇りにし自覚し、ともに頑張りたい。

現場で背景資本とも闘う
武谷新吾(関西生コン支部書記次長)

 春闘は2年連続1万円の賃上げで妥結したが、ゼネコンとセメントメーカーから原資を取る闘いを続けている。そのためには現場での闘いがなければならない。
 4月1日から4日間、独占資本のセメントメーカーの出荷基地をストで止めた。それ以降も大衆行動、ストを続けている。
 鈴コンの仲間が法廷闘争で勝利し、現在、現場で原職復帰に向けて闘っている。現場の闘いがないと、反動法案による弾圧もどんどん行われる。春闘は決着したが、背景資本との闘いは終わっていない。皆さんとともに闘いたい。

署名運動の教訓を全体のものに
伊藤 晃(日本近代史研究者)

 私たちの運動は解雇撤回・JR復帰を基調にした問題と全社会的に起こっている社会的な崩壊状況とを結びつけようと初めからしてきた。そのことで署名を取る中でも苦労されたと思う。それが私たちの運動の値打ちかもしれない。
 JR体制が崩壊し、次から次へ問題が起こっている。いろんな問題の全社会的なつながりが大変はっきりしてくる時代が来ている。
 署名を取るとき、相手と話し込んでいると思う。一生懸命話し込んで、つながりをみんなで共有し、理解を共有していく。それをどう推し進めるかが非常に重要だと思います。 議論の中で、相手が自発的にオルガナイザーになる。そういう体制ができれば爆発的に広がるのではないか。そうなれば、どんな判決が出ようとも自信を持って運動できるだろうと思います。
 全国で起こっている色々な試み、活動を深く研究・分析して、全体のものにしていくことが大事です。

闘争団員は納得していない
花輪不二男(世田谷地区労働組合協議会顧問)

 私は世話役として鈴コン共闘会議の呼びかけ人代表になりました。今の労働者の現状を一番局限された状態で闘ってきたのが鈴コン闘争だと思います。恫どうかつ喝と極端な弾圧の中、働かされる労働者の現状はさらにひどくなっている。
 しかし、僕も北海道の闘争団の人たちとつきあってきました。それで、国鉄闘争全国運動の呼びかけ人に名前を連ねたときに、批判があるんじゃないかという話をしました。彼らは、花輪君がやっていることについて批判する北海道の闘争団員はほとんどいないはずだといってくれました。あの妥結、収束に納得していないということですよ。やはり間違ってないという実感を得ました。
 鈴コン闘争は、第一ラウンドの裁判ではそれなりの結論を得ました。しかし相手は控訴し、組合員もまだ5名に留まっています。社前闘争で、今まではそっぽ向いて出社していく車が、笑顔で手を振っていく状況に変わってきています。分裂した組合を再建できる自信はあります。勝ったことを一つのノリに、さらに広範な共闘会議の組織を作っていきたい。

非弁護士制度≠ニの激闘
高山俊吉(憲法と人権の日弁連をめざす会代表)

 日弁連会長選・東京都知事選は多くの教訓を残した。情勢をどうみるのか。誰と一緒に闘うことが大事なのか。現場からビリビリと教えられた。
 一番問題になったのは「法曹有資格者制度」、非弁護士制度です。法曹の資格を持つが弁護士になれない人たち。まさに非正規職の議論と重なります。 弁護士激増は失敗し、彼らは非弁護士制度で再攻撃に出ている。新しい仲間がどんどん増えてもいます。闘いの一番のステージはそういう凄まじい激闘の中にあると実感しています。

JR主敵で闘いの軸つくる
鈴木達夫(弁護士)

 6・29と9・25判決、法大暴処法裁判、鈴コン裁判でおしこんだ。それで最高裁長官をすげ替え、寺田体制になった。寺田は裁判官生活の半分以上は法務官僚で、裁判の現場は知らない。安倍人事です。 
JR体制は崩壊期に入った。国鉄分割・民営化をやった葛西らが人格的にも資本としても日本の屋台骨になっている。全国的にこのJRを主敵にし続けることだ。
 闘う国労闘争団の資格回復裁判の中で、九州・筑豊闘争団の事務局長の江口さんが証人にでてくれた。なるほどと思ったのは4・9和解は誰も納得していない。闘争団が期待したのは、国労本部が雇用闘争は継続すると言ったこと。しかしダメだという回答であっという間に捨てた。見え見えの手口を使った。
 JR資本は最も改憲と戦争に突っ走っている。そこが崩壊している。安全問題は典型です。JR北海道のことを裁判でぶつけたら、他社だから関係ないと言った。だけどJR北海道に役員を15人も送り込んでいる。子会社じゃないか。
 JRで働く人たちの闘うコアを形成する。安全問題はもっと広げられる。JRを主敵にすることで一切の労働問題の集約的な軸として作れる。「労働者の魂ここにありと」いうでかい運動を作っていく。青年労働者も獲得できるんじゃないか。

判決後も影響力ある運動を
入江史郎(ス労自主労働組合委員長)
 6・8集会を新たな闘いの出発点にするという提起に異議ない。判決が出ても闘いを収束させないことは難しい。判決後の自分たちが描けないからだ。われわれも問われている。これに挑戦する決意だと思う。ともにやっていこうと改めて思った。 資本の大競争の中で労働者が虫けらのごとく扱われ存在が認められない。日本・世界の資本主義で起こっている。われわれの運動の主体は労働者。国鉄闘争にはかけるだけの価値があると思う。私も6・8集会を新たな闘いの出発点にしたい。

到達している地平は大きい
長谷武志(全金本山労働組合副委員長)

 3月30日に全国運動・宮城を発足しました。メーデーで3桁の署名が集まっています。本山でも社内でフリーハンドで署名がやれるようになっている。 新潟の経験を参考に自治労や教組の本部にも話しに行きました。教組からは各支部におろすという返事をもらいました。これから各単組を本格的にまわっていきたい。 ある単組の委員長と「批判はあってもいいが、他の方法があるなら教えて」と議論した。われわれが到達している地平はものすごく大きいと感じた。


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