尼崎事故が突きつけたものは何か 

   97日間安全運転行動の3つの成果

 尼崎事故は、国鉄分割・民営化や、安全分野にまで及んだ規制緩和という犯罪的政策によって引き起こされたものでした。労働者の団結が破壊され、資本の論理一競争原理が暴走したときに何かもたらされるのかを衝撃的に突きつけた大惨事であり、けしてJRだけの問題ととらえることのできないものでした。
 つまり、尼崎事故によって突きつけられたことは、この恐るべき現実に対し、労働組合が何をなすのかでした。まさに動労千葉自身が問われた問題でした。動労千葉にとって運転保安確立の闘いは、原点をなす闘いであり、動労千葉の土台をなす闘いです。さらに、尼崎事故が分割・民営化の結果であり、「安全の崩壊」というかたちをとってその破産を示すものでありながら、それと闘うことができなければ、民営化とその後に起きた一切の事態を容認するに等しいことになります。
 処分攻撃や監視・現認体制と対決して団結を守り、闘争体制を堅持して3ケ月あまりにわたる闘いを貫徹しました。JR体制と対決し、その矛盾をえぐり出して闘い抜いた安全運転行動は、動労千葉の長い歴史のなかでも新たな地平を切り開く画期的な闘いであったと総括することができます。
 第一の成果は、レール破断の頻発という事態に対し、組織の総力をあげて闘い抜いた闘いの結果として数百箇所、22kmにおよぶレール交換や東浪見駅へのATS地上子の設置を実現したことです。これは、かつて船橋事故闘争や線路闘争で切り開いた地平を引き継ぎ、発展させる大きな成果です。
 第ニの成果は、安全運転行動に対しわれわれの予想をこえた支持と反響の声が寄せられたことにあります。闘いの開始から今日まで、何十通という支持・支援のメールが寄せられ、支援する会を中心として行われた沿線のビラまきに対しても驚くほどの反応が寄せられました。それがJRや国土交通省への抗議という形になり、国土交通省が千葉支社を指導せざるを得ない状況を作り上げてきました。また、労働運動の分野でも動労千葉の闘いが見直される状況になってきました。
 第三の成果は、この闘いの渦中で組織拡太一平成採の獲得を実現したことです。
 今次闘争は、自らの闘いをもって労働組合としての正しい道を示すことが、われわれの最大の課題である組織拡大の展望を切り開く道であることを示したと言えます。
 第四の成果は、動労千葉として反合・運転保安闘争に込めてきたわれわれの原点を全組合員が再確認、再認識する大切なきっかけとなったことです。資本の最大の弱点は安全問題にあります。処分や「警告」に示された動労千葉根絶の意思をはね返し、大きな勝利を実現することができた最大の理由は、これらの攻撃に屈せず全組合員が団結を守ってき然と闘いを貫徹したこと。そして、反合・運転保安闘争路線にあります。直接利益を生まない保安設備への投資や要員を資本が無視することは当然あり、市場原理と安全は絶対に相入れることのない水と油の関係です。しかし、資本といえども安全はどうでもいいとは言えない課題でもあります。反合・運転保安闘争は、この資本の最大の弱点をつく闘いです。
 反合・運転保安闘争に終わりはありません。第二次安全運転行動を闘い抜き、運転保安確立を勝ちとらなければなりません。

 

第34回定期大会は安全運転闘争が切り開いた大きな地平を総括し、総選挙後の重大な情勢に立ち向かう新たな闘いの方針を確立した。

イギリスの国労・ATMの組合機関紙で動労千葉の安全闘争が紹介。和訳

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