東浪見ポイント問題

尼崎より遥かに悪条件
 「外房線・東浪見駅(上り)については、場内信号機で45q/hに減速して進入する」については、すでに9年にわたって未解決のまま放置されている懸案事項である。

発端は複線化時の支社のミス
 改めて経緯を示せば、1996年12月ダイ改時に、東浪見駅〜長者町駅間が複線開業したことに伴い発生した問題であった。複線化 に伴い列車が東浪見駅出発信号機の先にある45q/h制限のポイントを通過するようになったのである。ちなみに言えばこの時点では千葉支社は、同ポイントを35q/h制限であると間違えて把握しており、運転士等にもそのように指導されていた。
 また同ダイ改に併せて、外房線の同区間は、120q/h運転のスピードアップが行なわれた。同ポイント手前の直線は、最高速度120q/hとされたのである。こうした条件を考えれば、複線化工事をしながら同ポイントを交換することなく、そのまま残してしまったことは、千葉支社のミスであったことは明らかである。逆に承知していながら、35q/h制限と把握していたポイントをそのまま残したとすれば、安全に対する判断を疑わざるを得ない。

9年間放置しつづけた!
 とくに特急列車は東浪見駅通過であり120q/hから35q/h(45q/hでも同じこと)への急減速が強いられることに対し、われわれは、ひとつ間違えば脱線事故につながることを訴え、ポイントの交換を千葉支社に強く申し入れた。
 これに対し千葉支社は「問題があることは認識している」としながら、「ポイント交換には数千万円、ATSの地上子を設けるにも一個1千万円かかる」ことを理由として、この要求を拒否したのである。
 われわれはダイ改後、長期間にわたって、東浪見駅構内について今回と同様の安全運転行動を実施し、強く改善を求めたが、それでも会 社は要求を拒否し続けた。以降組合は毎年のようにポイント交換を要求し続けてきたが、今日まで9年間、注意喚起のための看板を立てる以外の安全対策を一切拒否し続けたのが千葉支社の対応であった。

尼崎より危険な条件!
 東浪見駅構内は、今回の福知山線の事故現場と比べても、はるかに危険かつ悪条件である。しかも現場は下り勾配である。いつ第二の尼崎事故が起きてもおかしくはない。尼崎事故を自らの問題として、真に重く受けとめているのであれば、直ちに何らかの具体的な安全対策を行わなければならないはずであるが、千葉支社は、何ら反省することもなく、今も「安全対策には優先順位がある」として、何ひとつ動こうとしていない。だが、こうした安全対策への怠慢こそが、尼崎事故を惹起させたのではなかったのか。

国土交通省も問題視している
 しかも、今回の組合の行動は、列車運行に与える影響は実質的にゼロと言っていいものである。
 さらに言えば、国土交通省も、速度差の大きいカーブ等への速度照査機能をもつATSの導入を鉄道事業者に指示したことが報道されているように、今回の安全運転行動は社会的要請でもある。むしろ抜本的な安全対策を実施するまでの間、会社が実施すべきものである。それを「違法行為」などと言って、処分の脅かしをかけることなど、断じて許される行為ではない。